養子縁組で生後間もない赤ちゃんを迎えた久保田智子さん。斡旋団体からの勧めもあり、娘が2歳半のときに真実告知を行いますが、娘さんからの反応は── 。(全4回中の4回)

2歳半の娘に真実告知をするとき

久保田智子
養子縁組もきっかけとなり、現在は兵庫県姫路市の教育長を務める久保田さん

── 養子縁組で家族になった娘さんは現在5歳。久保田さんがお世話になっている養子縁組の斡旋団体では、3歳までに真実告知をはじめるよう勧められていたとのこと。娘さんが2歳半になったころから告知をされたそうですが、どのように伝えたのでしょうか。

 

久保田さん:普段通りを装って伝えました。「私がママで、もう1人ママがいるんだよ」と言うと、「私がもう1人いる」と混乱するかもしれないと思ったので、「私とは別にもう1人、別の人間がいること」を明確にしたく、「あなたは産みの母から産まれたんだよ」と伝えました。

 

── 娘さんは告知されてすぐに理解はされましたか?

 

久保田さん:2歳半だと反応があるような、ないような感じでした。1度だけでなく、日常の会話の中で折に触れて話していたので、こちらも告知することに慣れていくような感じがしました。娘は次第に、そういう存在がいるんだとわかりはじめ、「それって誰?」と徐々に聞かれるようになりました。

 

あるとき斡旋団体の相談員の方に状況をお話しすると「娘さんの反応をみていると産みの母がいることは十分にわかっているけど、この話を聞くのが嫌な気持ちになっているように感じます。しばらくはやめましょうか」と言われて。その後しばらくは、その話は積極的にしないという時期もありました。

 

今はまた聞いてくるようになって、たまに「私はママから産まれたんだけどね」とわざと捨て台詞のようなことを言うことがあります。私からは産まれていないけど、産まれたって思いたいのかなって思うことがあります。その時は「ママも産みたかった~」と伝えています。成長段階に合わせて、どんな風に接していけばいいのか迷うこともありますが、相談員さんがいてくれてとても頼りになります。

 

── 相談員の方はそこまでアドバイスしてくださるんですね。

 

久保田さん:そうなんです。だからすごく重要なんです!私たちにとって初めての子育てで、しかも養子縁組の子育てになりますが、相談員の方にとっては今まで何例も見てきた経験の蓄積があるんです。もしアドバイスがないままに真実告知をしていたら、将来大きくなってから、子どもの捉え方、子どもとの向き合い方には大きな差が出たと思います。

 

そういう意味で、子どもの委託だけでなく、どんなサポートが受けられるのかという視点で斡旋団体を選ぶことは大事だと。私も子育てがはじまる前はサポートがどれぐらい必要なのか曖昧でしたが、今は強くその重要性を感じています。自分のためだけでなく、子どものためにもです。もし、斡旋団体を探す環境にあるなら、たくさんみて、支援体制を比較して決めることをお勧めしたいです。