20代のころ、医師から妊娠は難しいと告げられた久保田智子さん。夫婦で熟慮した末、養子縁組の斡旋団体に登録を決めますが、相談員のある言葉を受けて、改めて親になる覚悟を決めたと明かします。(全4回中の2回)

子どもは自分たちで選べない

久保田智子
軽井沢のカフェで一緒のポーズをとる久保田さんと1歳7か月ころの長女

 

 

── 結婚して1年後、旦那さんの仕事の都合で3年弱ニューヨークで暮らすことに。日本に帰国するタイミングで養子縁組斡旋団体について調べたそうですね。いくつか調べた中で2つ目に足を運んだ民間の斡旋団体に決めたとか。

 

久保田さん:斡旋団体はそれぞれ個性がありますし、子どもを斡旋して終わりではなく、その後のフォローや成長過程においてもアドバイスをもらったりと、すごく重要な存在だと思っています。私は相談員の方がとても信頼できる方だと思ったし、今でもこの方に出会えてよかったと思っていますが、ほかでいろいろな話を聞いていくと、できるだけたくさんの説明会に顔を出して、自分が信頼できると思う斡旋団体を決めることをお勧めしていますね。

 

── 久保田さんが登録された民間の斡旋団体では、6日間の研修(前半は座学中心、後半は新生児の沐浴などの体験がメイン)を受けた後、養子縁組の登録に進むとのこと。研修をはじめる前に、委託される子どもの状態についても説明があったそうですね。

 

久保田さん:ちょっとした誤解から、自分たちが子どもを選べるんじゃないかと思う人はいるかもしれませんが、それは違います。私たちも説明会でまず「子どもは選べません」という説明を受けました。なかには病気や障害を抱えている子もいるかもしれませんが、どんな子どもでも受け入れる前提で話が進みます。考えてみたら、自分が産むとしても子どもを選ぶことはできないし、どんな子どもになるかはわからないわけですよね。当然の話なんですがまだ見たことのない子どもの話です。正直、初めはどう受け止めていいのかすぐにはわからなかったし、自分たち夫婦も改めてどう思うのか考えました。相談員の方も戸惑うのは当たり前で、即答できないのは当然ですと。むしろ、戸惑わない方が心配になりますとおっしゃって、「それでも子どもを育てたいと思うのかまずはお考えください」と話されました。その結果、私たちはどんな子どもでも受け入れたいね、と夫婦で意思を確認して、決めました。

 

── 6日間の研修が終わると養子縁組の登録に。登録から約1か月後には赤ちゃんを委託する連絡がきたそうですね。子どもを委託されるタイミングは斡旋団体によって早い、長いなどまちまちなのでしょうか。

 

久保田さん:登録した先の状況によっても違うようですが、私の場合は早かったですね。私たちが登録した時点で、登録をしたらいつ来るかわからないと思ってくださいとは言われました。