「両親の体力が落ちた」も介護への第一歩

西田美歩
介護福祉士の資格を取得!

── 介護の仕事はまさに天職だったんですね。

 

西田さん:そう思います。タレントの仕事では人を笑顔にしたいという気持ちが大きかったのですが、介護の仕事もその部分は同じです。利用者の方には、私と過ごすことで笑顔になって欲しいと思っています。もし、介護の仕事で出会えてなかったら、今どうしていたかわからないですね。

 

── 芸能の仕事に未練はなかったのでしょうか?

 

西田さん:コロナ禍で芸能の仕事がほとんどなくなったのですが、そのころには自分の中でやりきった感もありました。事務所に相談をして名前だけしばらくは置いていたのですが、介護について発信するような仕事は事務所を通してだと難しい部分もあって。今後は介護の魅力や楽しさをもっと発信したいと考えていたので、2024年の春に事務所を辞めてフリーの「介護タレント」になることにしました。

 

── 介護タレントとしては、今後どのようなことをしていきたいですか?

 

西田さん:最近は同世代の友だちに、親について相談されることも多くなりました。「両親の体力が落ちた」「外出したがらない」など、一見関係なさそうなことも実は介護への第一歩。どんどん介護する側の負担が増えていくと思います。もし認知症の症状が出てきても、周りには言いたくないと考えがちですが、それこそが悪循環に陥る原因。早めに治療をする、周りのサポートを受けるなど、できることはたくさんあります。

 

そういう人たちにひとりで悩まずに、いろいろな情報があることを知ってほしい。介護って負のイメージがあるかもしれませんが、決してそうではありません。介護の現場は明るいことだらけだし、年を取ってからの人生を楽しく過ごそうと思っている人たちばかり。そういう介護の世界をもっとたくさんの人に知ってもらうために、今後も情報を講演会やイベントで発信できればと思います。もちろん、よりよりケアを届けるために、勉強して技術も向上していきたいです。

 

そのために最近ではアイドル時代からの仲間、岩佐真悠子と介護に関するイベントも計画しているんです。

 

西田美歩、岩佐真悠子
トークイベントの様子。左が西田さん、右が岩佐さん

 

PROFILE 西田美歩さん

にしだ・みほ。1986年、東京都生まれ。2003年に「ミスマガジン2003」の読者特別賞を受賞し、アイドルとしてデビュー。『めざましテレビ』などのリポーターを務める。現在は介護タレントとして、介護職をしながら介護の魅力について広めている。

 

取材・文/酒井明子 写真提供/西田美歩