特別授業を通して子どもたちに伝えたいこと

── 玉城さんは、児童養護施設をはじめ沖縄県内の小中学校などで特別授業もされているそうですね。

 

玉城さん:2021年からいろんな方に支援していただき、「いのちを歌おう」と題して、県内の小中学校を回ってきました。私がどんな子ども時代を送って、どんなふうに夢を見て、どう叶えてきたのか。そして今、どんな夢を見ているのかという話をメインにさせてもらっています。そもそも「夢って何?」というところからお伝えしているのですが、私が思う夢というのは、好きなものだと思うんですね。好きという気持ちが夢の種で、その種をたくさん自分の心に撒いてほしいという話をしています。

 

玉城千春さん
沖縄の学校を訪れ特別授業を行う玉城千春さん

── 将来なりたい夢がわからない、という子も多いと聞きます。

 

玉城さん:何になりたいかわからなくても、残念に思う必要はまったくないと思います。毎日の中で、なんだかワクワクドキドキすること、気になること、興味があること、そして、悔しいなと思うことが、実は好きなことで、やってみたいなと思うことに繋がるんだと思います。それは食べ物であっても、見るものであっても、ゲームでもいいんです。講演の際は、自分の心が揺れ動くことを 「絶対にみんな見逃さないでよ!」と声をかけています。

 

── そういう気持ちなら、どんな子にも何かひとつはありそうですね!

 

玉城さん:社会に出ると、好きなことが後回しになりがちで、日々の生活や仕事に追われてしまいますよね。でも私はワクワクドキドキすることがしたくて、マレーシアにも行ったし、こうやって子どもたちに話をして、好きなことの種を蒔いているんです。だから、「みんな、今日は私の夢を叶えてくれてありがとうね!」と話すのですが、好きなことを見つけたら、とことん楽しんでほしいです。好きなことはたくさんあってもいいし、ひとつに選ぶ必要はないと思っています。心に蒔いた種=好きなこと。それに水=挑戦を、し続けてほしいなと願いながらお話をしています。

 

PROFILE 玉城千春さん

たましろ・ちはる。沖縄県読谷村出身。1995年Kiroroを結成。ボーカル、作詞作曲を担当。1998年1月に『長い間』でメジャーデビュー。以降『未来へ』『Best Friend』など誰もが口ずさめるヒット曲多数。2021年、10年ぶりとなるソロ活動をスタートし、『命の樹』『Hope Dream Future』『あの人の声』を配信リリース。その他、沖縄県内の小中学校で夢や命の尊さを歌と共に子どもたちに届ける特別授業や、岡本知高、島袋優(BEGIN)への楽曲提供、ビビアン・スーのオリジナル曲、日本語詞を担当するなど、作家としても活動の幅を広げている。

 

取材・文/内橋明日香 写真提供/玉城千春 協力/マレーシア・フィリピン児童養護施設:認定NPO法人CFFジャパン