Kiroroの玉城千春さんは、故郷・沖縄の児童養護施設や小中学校を訪れて特別授業を行っています。玉城さんが子どもたちに伝えたい思いを伺いました。(全4回中の2回)

マレーシアと沖縄の子どもたちを繋いで

── マレーシアの児童養護施設を訪問したことをきっかけに、故郷の沖縄にも目をむけるようになったそうですね。

 

玉城さん:マレーシアの子どもたちのために、チャリティコンサートなどに参加したのですが、それが終わってから「私が子育てをしている地元・沖縄の子どもたちはどんな状況なんだろう」と思い始めました。沖縄の児童養護施設で働いている友人を通じて、マレーシアでのご縁を繋げてくれた方と話を聞きに行かせてもらうことにしたんです。

 

マレーシアの男の子と玉城千春さん
「いい表情!」マレーシアの男の子と一緒に歌う玉城千春さん 協力/認定NPO法人CFFジャパン 

── 沖縄の児童養護施設ではどんなことをしたんですか。

 

玉城さん:沖縄でも貧困問題など、さまざまな事情を抱えた子どもたちが施設で過ごしています。マレーシアの児童養護施設を訪問した際の体験を沖縄の子どもたちに伝えて、チャリティコンサートをしたことについても報告をしました。そのとき、両方の子どもたちをオンラインで繋いで、お互いについて理解を深め合う交流もしました。

 

そんななか、児童養護施設で働く友人から「施設の子が卒業する際に壮行会を開いている」という話を聞き、「何か子どもたちの思い出になることができないかな。曲を一緒に作れないかな」と相談を受け、私にできることがあればと引き受けました。コロナ禍だったので、オンラインで話し合いを重ねて、出来上がった曲が『あの人の声』です。

 

── 卒業の記念に曲を作るとは、いい思い出になりますね。

 

玉城さん:卒業後はそれぞれの道に歩み始めます。施設を巣立ったあとも心の拠り所になるような歌が作れたらいいなと思いました。ご縁が繋がって、去年の夏に沖縄の児童養護施設の子どもたちの代表ふたりと施設で働く友人と一緒にマレーシアの児童養護施設を訪れて交流をしてきました。

 

── 子どもたちの反応はいかがでしたか。

 

玉城さん:沖縄の子たちはやっぱりびっくりしていました。日本の児童養護施設は、国や県、自治体の予算やさまざまな補助があって成り立っているのですが、マレーシアの施設は寄付やボランティアの方の協力がなければ成り立ちません。職員さん同士も交流をしたのですが、お互いの違いなどについても理解を深められていたと思います。日本の児童養護施設は、子どもたちを守ってくれる場所で、たくさんの方の愛や縁が届いている場所です。もし今、つらい状況にいる子どもたちは、ぜひ声を上げてほしいなと思っています。