「今度は自分の順番が回ってきただけ」
── そうなのですね。子どもが反抗的な態度をとると、ついイラっとしたり、家事をストライキしたくなってしまうという声も聞きますが…。
小日向さん:もちろん「なんだかなぁ」と感じることはいっぱいあります。せっかくご飯を作って待っているのに、「友達と飯食って帰るから」と連絡が急に来たりすると、「もうちょっと早く言ってくれたらなー」と文句を言いたくなるときもあります。
ただ、きっと自分もこれまで親に対してそういうことをたくさんしてきたんだろうなと思うんです。だから、「今度は自分の順番が回ってきただけ」と、思うようにしています。
次男は今16歳ですが、中学2年くらいから、私に塩対応するようになり、今もプチ反抗期中です。そのときどきの彼のコンディションによって、態度がいろいろと変わりますが、別にたいして気にしていません。「今は距離感を取った方がいいタイミングかな」と感じたら、無理に話しかけたりはしないようにしています。「今日学校どうだった?」などと聞きたい気持ちはあるけれど、本人がしゃべりたいいと思うまで、こちらからは探らずに、放っておきます。
── なんだか達観されていますね。
小日向さん:きっと子育て真っ最中に考えすぎて、悩むことに疲れちゃったんだと思うんです。もともとは、わりと物事を真正面から受け止めてしまうタイプで、ひとりで悩みを抱え込んでしまうこともありました。ただ、一生懸命やっても世の中、報われないことはたくさんあるし、悩んだところで答えが見つからない場合も多い。だから、自分でどうにかできることは努力するけれど、そうじゃないことまで背負い込むのは意味がないなと思うようになりました。
悩みにぶつかったときは、「自分が悪いのかな」と考えず、「まあしょうがないか。そんなこともあるよね」と、受け流す力が身についたことで、だんだんとマインドが変わっていったのだと思います。
PROFILE 小日向しえさん
こひなた・しえ。1979年生まれ、東京都出身。15歳でファッション誌『装苑』の表紙にてモデルデビュー。女優・歌手として映画、ドラマ、バラエティなど多くの番組に出演。
取材・文/西尾英子 写真提供/小日向しえ