フジテレビ入社前から一貫して「声の仕事がしたかった」と語る近藤サトさん。テレビ業界で働くことは憧れだったと語るものの、「どうせ受からないだろう」とまさかの出立ちで入社試験に挑んだそうです。(全4回中の2回)

「あんな写真貼ったの、ひとりだけだぞ」

近藤サト
フジテレビの女子アナ時代の近藤サトさん

── いつごろからアナウンサーを目指されていたのですか。

 

近藤さん:アナウンサーになりたかったというより、声の仕事がしたかったんです。ナレーションをしたり原稿を読んだりしたくて、日芸(日本大学芸術学部)在学中に話し方のお稽古をしていました。4年間、テレビ局でアルバイトをしていたので、テレビ業界で働くことは憧れでした。インターネットも携帯もなかった時代で、テレビ局の仕事は花形だったんです。

 

当時はバブル絶頂期、テレビ局の入社試験には10万円くらいするスーツで臨む人も多かったのですが、私はお金がなくて。東京駅の地下街につるしで売っている1万9800円のスーツを着て行きました。「どうせ受からないだろう」と思っていたので。

 

履歴書の写真も、写真館で撮影するとけっこう高いんですよね。それでスナップ写真を提出しました。フジテレビに入社してから人事担当者に「あんな写真貼ってたの、ひとりだけだぞ」と言われました。友達と一緒に神戸へ遊びに行ったとき、メリケンパークで撮ってもらった写真です。神戸出身でもないのにね(笑)。

 

近藤サト
日芸時代の近藤さん

当時の女性アナウンサーとしては、変わり者だったかもしれません。アレルギーがあって化粧もしていませんでしたし、こうと決めたら行動が早くて迷いがない。「サトちゃんの真似はしたらダメだよ」とよく言われました。「男らしいね」と言われることも多かったのですが、「男らしさ」「女らしさ」という言い方に違和感がありましたね。

 

そういえば、フリーになって白髪染めをやめてテレビに出演したときも、アナウンサー時代の先輩や後輩には「サトちゃんらしいね」と言われて、驚かれませんでした。当時から「わが道を行く」タイプだったみたいです。