毎年、元日に届く年賀状。切手部分(料額印面)のデザインにおもしろい仕掛けがあると話題を呼んでいます。今年はどんなポイントが?切手デザイナーの働く丸山智さんと星山理佳さんに伺います。
キーワードのひとつは「鏡」
── 本日、年賀状を受け取った方も多いと思います。毎年、趣向を凝らしたデザインでも注目されていますが、今年の年賀はがきの切手部分(料額印面)のデザインで注目すべきところはどこでしょうか?
丸山さん:今年のデザインは8種類あるのですが、私が手掛けた富士山のデザインは、切手部分(料額印面)と、その下にある消印部分と、はがきの下の方にあるくじ部分のカットのデザインに関連性があります。
切手部分(料額印面)には湖に鏡のように映った逆さ富士を描いているので、「鏡」をキーワードに、消印部分には鏡餅を、はがきの下のデザインには、その鏡餅で作ったおしるこを描いて、鏡開きを連想していただけるようにしました。また今年は、ほかのデザイナーが手掛けたものですが、五線譜に書かれた蛇の音符が巳年にちなんで、「ミ」の場所にあるものがあります。このような遊び心が隠されていますので、皆さんぜひお手元に届いた年賀状を探して楽しんでいただけたらと思います。
── 2003年ころから、切手部分(料額印面)と消印部分などに関連性があるデザインが主流になってきたと伺いました。
丸山さん:年賀状を出す風習がだんだん萎んできているなか、多くの方に興味を持ってもらいたいという思いで、単にデザインをするだけではなく、話題性も盛り込んでいけたらいいなという願いを込めています。
── 年賀状の切手部分(料額印面)に描かれた干支のストーリーが、同じ干支がやってくる12年後にも続いていることが話題になりました。
星山さん:2003年の未年に編み物をしている羊のデザインをしました。そこから6、7年経ってから、「12年後に、デザインが繋がっていたら気付いてくれるだろうか」とふと思い付いたんです。2015年の未年には、編んでいたマフラーが完成してそれを身に着けている羊を描いたところ大きな反響がありました。数年越しで温めてきたテーマを皆さんに注目していただけてうれしかったです。羊さんには足を向けて寝られません。
お正月は、今年いただいた年賀状を見ながら「あの方、元気かな」「お子さんが生まれたのね」と誰かのことを思う時間を楽しむものだと思っています。新年は未来だけでなく、過去についても振り返る時間だと思うので、時間のフラグを回収することは、年賀状の特性とうまくマッチし、皆さんに関心を持っていただけたのかなと思います。