2023年3月に解散したお笑いコンビ・尼神インター。悩みに悩んだ結果、解散話から1週間後には15年間所属した吉本興業の退社を決意します。(全3回中の2回)

突然のコンビ解散話からフリー転身まで

誠子
イベントにて料理中

── 15年続いたコンビ・尼神インターが2024年3月末に解散しました。改めて経緯を伺わせてください。

 

誠子さん:2023年の12月に、今後の尼神インターの活動についてスタッフさんたちと話しているときに、渚が「解散を考えてる」って言ったんです。初めて「解散」という言葉を聞きましたが、私はそれまで解散なんていっさい考えていなかったし、今後のネタも書いていたところだったのでかなり驚いて。でも、渚が言葉に出すっていうことは相当な覚悟だとわかったし、特に反対することもなく解散を受け入れました。

 

── 渚さんはなぜ解散を申し出たのでしょうか。

 

誠子さん:理由は聞いていないのでわからないです。私より口数が少ないですし、私たち、言わんでもわかるだろうっていう関係なんですけど。でも、私のことが嫌になったとか、突発的な理由で言ってるわけではないとは思うんですよね。私も15年コンビでやらせてもらってきて、テレビもたくさん出させてもらった感謝もあるし、渚も私の100倍考えての発言だと思ったので、特に理由は聞かずに受け入れました。

 

── コンビの活動が減ったことはありますか?

 

誠子さん:コンビの活動は減っていなくて、劇場もたくさん出ていたんです。ただ、個人の活動が増えてきたので、お互い視野が広がったんだと思います。視野が広がって、自分がやりたいことが増えていって。尼神インターにいる限りは、私も渚もそこに集中するので、自分がやりたいことが1%でも減るって考えたら、私も解散がベストだと思いました。方向性の違いもよく聞かれますが、お互いそのあたりを話していないからやっぱりわからなくて予想でしかないですけど…、私は漫才を見てこの業界に入ったので、ネタがいちばんしたいことっていうのは強かったとは思います。あと、美容はもともと好きだったので、特にこれが原因というわけではないんですけど(笑)。

 

結局、何か不満があって解散したわけではなく、より自分が新しいことにチャレンジする解散、ポジティブな解散だなと思いました。

 

── コンビを解散して、さらに吉本興業を退所してフリーで活動しようと思ったのはなぜでしょうか。

 

誠子さん:私のチャレンジでしょうね。解散するんだったら、私の人生を意味のあるものにしたかったんです。15年吉本にいて、ある程度、芸歴を重ねてきて、自分でもびっくりするような未知なるチャレンジってなんだろうって思ったら退所だなってパッと思いました。吉本とエージェント契約をして続ける方法もありましたが、あえて不安なことをやりたかったんですよね。未知すぎてワクワクすること。芸人1年目のころみたいな。

 

それでも解散の話が出て1週間は考えたのかな。考えても心の中でフリーへの気持ちが強かったのでマネージャーに退所の意思を伝えると、めちゃくちゃびっくりされました。吉本の社員にも仲のいい人が多いので「マジすか?」ってすごく止めてくれたんです。私も会社に不満があるわけではなかったので泣いてしまったし、いったん考え直すことにしましたが、やっぱり家に帰って考えると気持ちが固まっていましたね。

 

あと、今所属している芸人さんにも伝えたかったんです。芸人を辞めても違う職業、たとえば飲食業でも販売でも、お客さんを笑顔にする仕事をしていたら、やっていることは一緒だと思うんですね。でも、吉本を退所して、さらに芸人を辞めた人はどこか引け目を感じてしまうのか。疎遠になってしまうことも珍しくなくて、それは悲しいと思ってました。だから芸人を続けてる子も、辞めた子も、みんな繋げられたらいいなと思っていたし、辞めた子もみんなと関わりやすい環境が作れたらいいなっていうのはありました。