つらいことがあっても前を向いて生きたい

今年、大阪で行われた「関西三重県人の集い」では司会を務めた
今年、大阪で行われた「関西三重県人の集い」では司会を務めた

── 出産時のエピソードを教えてください。

 

浜口さん:赤ちゃんが逆子だったため、帝王切開での出産でした。麻酔で意識が朦朧とした中での初対面。「ちゃんと生きてる、よかった…」と、うれしさよりも安堵したという感じでした。同時に「こんなに大きいのが入っていたんだな」と不思議な気持ちにもなりましたね。

 

── その後の育児生活はいかがですか?

 

浜口さん:出産後も「この命を絶やしてはいけない」と使命感を感じ続けていましたが、1歳を迎えたわが子の成長を間近で感じ、ようやく嬉しさを噛み締めることができています。母も孫が生まれたことを自分ごとのように喜んでくれて、私が仕事をするときは、大阪から来て育児を手伝ってくれているので、とても助かっています。

 

── 今後の活動で挑戦してみたいことはありますか?

 

浜口さん:三重に移住したことで、「三重の魅力を知ってもらいたい」という気持ちを持つようになりました。今後、三重の魅力をさまざまな形で発信していきたいですし、移住についてもお話しできる機会を作れたらと考えています。

 

それから、高校時代からの夢である「放送作家」の活動も、少しずつスタートすることができています。皆さんの前で、「作家の仕事をしています」と話せることができるよう、頑張っていきたいですね。

 

── 芸能界デビュー、移住、独立、不妊治療など、さまざまな選択を重ねてきました。これまでの経験から、どのような学びを得ましたか?

 

浜口さん:大変なことや、つらいことって誰もが経験していると思います。でも、その経験を「プラスの材料に変えよう」と思える思考力があれば、幸せにつながっていくんだと感じています。仕事がなくて深く落ち込んだこともあったし、やることがなくて朝から晩まで布団の中で過ごした時期もありました。でも今、振り返れば、すべて意味がある時間だったんだと思います。その時間の延長線上に今の私がいる。これまでの経験があったからこそ、ネガティブなことが起こっても「いつかハッピーにつながるといいな」と考えて前を向くことができるようになりました。

 

今はたくさんの仕事をいただいていますが、数年後はゼロになるかもしれません。でもそのときはそのとき。それまでに積み上げた「経験の貯金」で今後のことを考えていきたいです。どんなことが起きても「無駄なことはひとつもなかった」と思える人生にしたいですね。

 

浜口順子さん
浜口順子さん

 

PROFILE 浜口順子さん

はまぐち・じゅんこ。タレント。1985年大阪府生まれ。3歳に難病「若年性特発性関節炎」を発症し、約10年間の闘病生活を送る。16歳のときに、ホリプロタレントスカウトキャラバンでグランプリを受賞し、芸能界入り。2016年に結婚し、不妊治療を経て、2023年に第一子を出産。2022年に三重県に移住。現在は、ラジオパーソナリティーやニュース情報番組のMCなど、幅広く活躍中。

取材・文/佐藤有香 写真提供/浜口順子