娘は赤ちゃんのころからリスペクトしてきた

── 子育てもゴールに近づいたとのことですが、娘さんが成人されてからは、つき合い方が変わったりもしましたか?

 

濱田さん:娘が小さいころから、親子という立場からくる義務みたいなものは取っ払うつもりでいました。お互い人間だから、教えたり教えられたりする関係だと考えていたので。だから最初から相手をリスペクトしようって思って。ベビーカーから社長のようなたたずまいで足をでーんっと出している小さな娘に対して、赤ちゃん言葉を使わず敬語で接したりして(笑)。今でも本気で娘を尊敬していますし、いっぱい教えてもらうこともある。やっと理想の間柄になれている気がしますね。

 

濱田マリさん
レギュラーを務めるラジオ番組にて、昨年の誕生日の際の1枚(「濱田マリ、これハマります」公式Instagramより)

── 子育てを振り返って思うことはありますか?

 

濱田さん:やっぱり子育ては体力勝負なところもあるので、若いころに出産していたら、子どもが巣立った後に、自分の時間が持てるメリットもあります。でも年をとると、角が取れて丸くなってくるので、育児のとらえ方もまた違ってくるのかなって。圧倒的に今よりも10年前や20年前は元気でトンガっていたので(笑)。若いころはちょっとしたことでイラッとしていたけれど、年を取るとイラだたなくなりますからね。そういう穏やかなマインドで子育てができたら、楽しいのではないかなって思ったりします。

 

もしも専業で家事や育児だけに専念していたら、自分の時間をすべて子どもにあてることができたかもしれません。でも、私は仕事と家庭と子育ての三足のわらじを履いた人生を選んだ。でも、このふたつの生き方で娘の育ち方が変わるかどうかなんて比較できないし、これからも好きなことをやりたいっていう気持ちは変わらないですね。

 

濱田マリさん

── 濱田さんは、仕事も育児も全部楽しんでいらっしゃるんだなと感じました。

 

濱田さん:性格的に、悩みや怒りを引きずらないタイプなんです。24時間以上、そんなことを考えていたら心がダメになってしまうので。少しでもイヤだなって感じたら、とりあえずシャッターを下ろす。そして、また恋しくなったら近寄る。すべてにおいて、自分本位と言えるかもしれません。でも、そんなにひどい人間ではないので(笑)。真面目ですし。

 

そういえばこの前、久しぶりに占いを観てもらったら、「あなたは生涯を通して娘さんしか愛せない」なんて言われました。でも、それでもいいかなって(笑)。娘のことが好きだからこそ、これからも嫌われないように気をつけようと思います。

 

PROFILE 濱田マリさん

はまだ・まり。1968年生まれ、兵庫県出身。1992年、「モダンチョキチョキズ」のボーカルとしてメジャーデビュー。1997年にバンド活動停止後は俳優として活躍し、NHK連続テレビ小説『マッサン』『カムカムエヴリバディ』など、数多くのドラマや映画に出演。2021年からは「モダンチョキチョキズ」の活動を再開。

 

取材・文/池守りぜね 撮影/CHANTO WEB NEWS