手のひらや足裏に膿胞ができて、手袋をしないと激痛で生活すらままならない病気に直面した奈美悦子さん。100か所以上、治療のために病院などに足を運ぶも治らない中、食事の改善を始めます。(全5回中の2回)
触れるだけで膿と血がつき激痛の病気との格闘
── 2004年に「掌蹠膿疱症性(しょうせきのうほうしょう)骨関節炎」を発症、闘病されています。どのような状態だったのでしょう。
奈美さん:まず手のひらと足の裏にびっしり膿胞ができました。それがグチュグチュになって、何かに触れると膿と血がついてしまうので、つねに運転手さんがするような手袋をしていましたね。家事をするときはその上からビニール手袋をするのだけれど、外すときがもう地獄。血と膿で手袋がくっついてしまい、ちょっとずつ取ると痛いから、お湯につけて「せーの!」で剥がしていました。手より足のほうが大変で、靴を履くから、蒸れてなかなか治らないんです。正座をすると血が大量に出るので、靴下の替えをいつも持ち歩くようにしていました。
掌蹠膿疱症性骨関節炎というのは骨が破壊される病気なので、だんだん骨が変形していくんです。それがもうとにかく痛い。お医者さまには「進行を止める薬はなく、この病気は一生治りません」と言われました。でも、そのままでは仕事ができません。強い痛み止めの薬を2時間おきに飲んでなんとか仕事をするのだけれど、しばらくするときれてしまう。痛みが我慢できず、ハンドタオルをグッと噛みしめたこともありました。
病院、整体、怪しい民間療法…試した末に
── 病院にもかなり行かれたそうですね。
奈美さん:もう全国を回りました。全部で107か所行ったと記憶しています。病院だけではなくて、整体も行ったし、ヘンなおまじないにも行って。知人にすすめられ、金の棒で痛いところをさするという民間療法も試しました。本当に藁にもすがるという気持ちです。金の棒の民間療法は「3回通わないとダメ」と言われたけれど、ものすごく高いのと、最終的に何十万円もする金の棒を買わなければいけないということで、私にはちょっとムリと思ってすぐに辞めました(笑)。
── 仕事は一時、お休みされていたとか。
奈美さん:完全に休んでいたのは2か月くらい。その間に必死に勉強して、やっぱり食べ物が重要だと気づき、そこから食を見直しました。免疫細胞の70〜80%は腸内に生息することを知り、「じゃあ、腸内環境を整えよう」と考えて。腸内環境によくないとされる小麦粉と白砂糖をやめ、白米から雑穀中心に切り替えました。雑穀について学び、雑穀アドバイザーの資格も取っています。私が受けたときは受験者数が100人ほどいて、合格したのは5人くらいでした。
あとは旬のものを食べる、というのも心がけているところです。春は苦いものを食べることによって体内の毒素を流す。夏は体を冷やすためにナスやトマト、キュウリをそのまま食べる。「旬のときに旬のものを食べる」のがいちばん安いし、栄養もたっぷりある。昔ながらの日本の食だけれど、そう考えると日本人ってとても賢くて、知恵があったんですよね。旬をきちんと知りたくて、近所に畑を借りて、実際に無農薬野菜を育て始めました。やっぱりおいしいですよ。採れたてのナスなんてもう梨みたい。その代わり無農薬なので、雑草と虫との闘いですけど(笑)。