お笑いコンビ・ロッチで活躍するコカドケンタロウさん。現在夢中になっているのが、実はミシン。今では時間があればミシンのことばかり考え、作品作りに没頭しているそうですが、そこに至った経緯とは。(全2回中の1回)
40歳を超えて新しいことを始めるのは難しい
── 2023年からミシンにハマったそうですが、出会ったきっかけはなんだったのでしょうか?
コカドさん:実は僕、40歳になるまで夢中になれる趣味がひとつもなかったんです。そういうものがひとつでもあれば日々が豊かになると思っていたのですが、40歳を超えると新しいことを始めるのってなかなか難しくて。かといって待っていても見つからないので、重い腰を上げて夢中になれそうなことを探し始めたんです。
最初にやってみたのはゴルフ。とりあえず始めたら1年は続けてみようと決めていました。ゴルフは楽しかったしゴルフ番組に出演させてもらえたりもしたのですが、朝が早くて大変だし、18ホールは長いと感じてしまうこともあり、夢中とはちょっと違うなと。それでゴルフ以外のことをやってみようとギター、料理、グランピングなどいろいろ試しました。
でも、どれもなにか違う…。頭のどこかで仕事につながったらいいとか、そういう余計な気持ちがあったのかもしれません。そこで改めて本当に好きなことを見つめ直したときに、20歳のころに古着屋で働いていたのがめちゃくちゃ楽しかったことを思い出したんです。今も洋服を買うのが好きだし、もしかしたら洋服関係になにかあるかもしれないと思いました。それで古着屋を経営する友達のところを訪ねると、友達がミシンで作業をしていて。それを見て自分でもやってみたいと思うようになりました。
── それまでミシンに触ったことは?
コカドさん:限りなくゼロに近いです。学生時代に授業で雑巾を縫ったとか、その程度だったと思います。そこから2023年はミシンをやってみようと思い、さっそく調べました。でも、けっこういい値段がするミシンが多くて。友達に相談して、気になっていた中古の商業用ミシンを購入しました。
で、届いてちょっと使ってみたら急にゾクゾクっとして、「あっ、これは夢中になれる」って思ったんです。それで、とりあえず買ってあった小さい布で試しにバッグを作ってみることに。ミシンの勉強なんてしたことはないので、自分の持っているバッグを見ながら真似して縫っただけなのですが、なんとか小さなバッグを完成することができました。それにすごく感動して、そこからは空き時間さえあればミシンという日々が始まりました。
── 商業用ミシンというのは、普通のミシンとは違うのでしょうか?
コカドさん:商業用ミシンは真っすぐにしか縫うことができないのですが、ものすごくパワーがあるため、デニムやレザーも縫うことができます。ただ、それだけではやはり不便だったので、そのあとにいろいろな縫い方ができるロックミシンをゲットしました。
ロックミシンはプロや本気でミシンを趣味としている人が使う、かなり本格的なものです。たとえば、普通のミシンではできない、生地の端がほつれないように布の端を糸で巻き込むように縫う方法「かがり縫い」ができます。それをSNSにアップしたところ、「コカドがなにかすごいミシンを買った。これは本気かもしれない」とミシンをやる方たちから注目されるようになったんです。