ミシンの先生は「インスタライブ」
── 衣服制作のための型紙作り(パターンの引き方)や制作方法などは、どのように勉強されたのですか?
コカドさん:基本的には独学です。その様子をSNSやインスタライブで流すと、「それは違う」とか「ここはこうやったほうがいい」などミシンの先輩たちがアドバイスをくれるんです。その方たちに教えてもらいながら、ここまで上達してきた感じですね。タレントでゼロから趣味でミシンを始めた人があまりいなかったようで、みなさん温かく見守って応援してくれるのがありがたいですね。
最初の半年はバッグばかり作っていたのですが、ほかのものも作ってみたいと徐々に思うようになり、パンツを作ってみることに。でもパターンなんて引いたことがないのでわかるはずもなく、それで古着屋の友人に相談したところ、使わなくなったパターンをくれました。それを自分用にアレンジしてYouTubeを見ながら作っていたのですが、前ポケットのつけ方がわからず、また友人のところに駆け込むことに…。やり方を教えてもらってそれを真似して、さらにインスタライブでアドバイスをもらって…、という感じで、パンツ作りは上達していきました。
── 次に作るものはどうやって決めているのですか?
コカドさん:基本的には自分の持っている古着に合うものを作るようにしています。でも、最近はとにかく作ったことのないものを作ってみたくて、犬の洋服とかスカートとか、頼まれてもいないのに勝手作って、プレゼントしたり飾ったりしています(笑)。芸人仲間に勝手に作ってあげることも多いです。わが家の坪倉はトルソー(店頭でディスプレイするための人間の胴体型。マネキンの胴体部分)をプレゼントしてくれたので、そのお礼にパンツを贈りました。
あと、坪倉にはミシンを始めたばかりのころにサコッシュがほしいと言われて、作ってプレゼントしたことがあったんです。といっても、始めたばかりだったので今思えば下手なんですが、破けてもずっと使ってくれていますね。実は少し上達してから、当初より上手にできた同じ柄の布で作ったサコッシュをもうひとつ贈ったんです。なのに、かたくなにそちらではなく、坪倉は最初にあげたほうのサコッシュを使っていて。破けたところは僕が直しているのですが、絶対に新しいのを使ってくれないので、うれしいけれどなんかちょっと怖いです(笑)。
ほかにも空気階段のかたまりくんにプレゼントしました。愛用しているサコッシュが壊れたときにあげて以来、毎日使ってくれていて。そういうのを見るとうれしいです。
── コカドさんにとってミシンの魅力とはなんですか?
コカドさん:ミシンは生地を選ぶとき、作っているとき、でき上がったとき、使っているとき、プレゼントするときと、すべての工程が僕にとってめちゃくちゃ楽しいんです。衣食住のうち「衣」だけでも自分で用意できるというのも、いいのかもしれません。
実をいうとゴルフは楽しいけれど、あまりうまくならず下手でした。それで向いていないと思ったこともあったのですが、ミシンはセンスがあるかはわかりませんが、向いていないとは思いませんでした。好きで夢中になれて、どんどん上達している感じです。
── 今後、挑戦したい作品はありますか?
コカドさん:スカジャンとかベトナムジャケットとか、刺繍が入っているものを作ってみたいですね。アウター自体をまだ作ったことがないし、刺繍も始めたばかり。こちらも独学なのでやり方が全然違っていたようで、インスタライブでアドバイスを受けているところです。ただ、間違っていた僕のやり方も上手ではないけれど味のある刺繍になっていて愛着があるので、それを活かしつつ今後も練習していきたいですね。
PROFILE コカドケンタロウさん
こかど・けんたろう。1978年、大阪府生まれ。2005年に中岡創一とお笑いコンビ・ロッチを結成。2015年にはキングオブコントで3位に輝く。最近の趣味はミシン。2024年11月に著書『コカドとミシン』(ワニブックス)を発売。
取材・文/酒井明子 写真提供/コカドケンタロウ