妻も子どもも戦ってくれていた「売れない時代」

── 仕事が途絶えてしまった時期は、奥さまもすごく不安だったかと思います。夫婦で話し合いなどはされたのでしょうか?

 

森脇さん:もちろん不安はあったと思いますが、嫁さんからは、グチや泣き言を言われたことはなかったんです。こういう世界だから、いいときもあれば悪いときもあると。売れない時期に何も言わずにいてくれたことが、ありがたかったですね。ただ、子どもが2人いて学費はかかるので、結婚式やゴルフコンペの司会、村祭りの司会など、いただけるお仕事はすべて引き受けました。とにかく毎日必死でしたね。

 

仕事が少しずつ増え、テレビにも復帰しだしたころ、2015年の『ナカイの窓』に出演させていただいたのですが、番組のなかで息子がぼくにあてた手紙に「どんなに小さな仕事でも、家族のために全力でやってくれていたのを見てました」と書かれていて、思わず号泣してしまいました。

 

森脇健児さん
サッカー観戦で京都サンガの敗戦を本気で悔しがる森脇さん

── 子どもはちゃんと見ているものですよね。

 

森脇さん:その息子が大学2年生のときに「最近オヤジ、仕事が順調そうやなと」と探るように言ってきて。聞くと「1年間海外留学したい」と切り出され、差し出されたパンフレットを見たら、なんと500万円!目が飛び出ましたね。驚くぼくに「でも、いまの親父やったら、出せんことないんと違うかな」と。なかなかのしっかり者に育ちましたね(笑)。でも、僕がまだ仕事で浮上できていない時期だったら、そんな頼みも聞いてやれなかったでしょうから、頼ってくれてうれしかったです。

 

PROFILE 森脇健児さん

もりわき・けんじ。1967年、大阪府生まれ。京都・洛南高校時代には陸上でインターハイ出場。高校在学中に芸能界入り。1990年代には『笑っていいとも!』『夢がMORI MORI』などの人気番組に多数出演。TBS『オールスター感謝祭』の人気企画「赤坂5丁目ミニマラソン」には2003年から連続出場。YouTube『やる気!元気!森脇チャンネル』更新中。

 

取材・文/西尾英子 写真提供/森脇健児