「セリフが覚えられない」から始めた語学の勉強
── マラソンやボクシングなど、これまでいろいろなチャレンジをされてきた森脇さんですが、あらたに取り組んでいることはありますか?
森脇さん:「タイ語」ですね。じつは10年前から、ずっとタイ語の学校に通っているんです。
── 10年も!そもそもなぜタイ語を習おうと思ったのですか?
森脇さん:2014年に、TBSテレビ『日曜劇場 ルーズヴェルト・ゲーム』というドラマに出演させていただいたのですが、3行以上のセリフが全然、覚えられなくて。当時47歳でしたが「こんなに記憶力が落ちているんだ」とショックを受けました。頭を使わないとダメだ、覚える作業をやろうと思っていたところ、ちょうどプーケットマラソンに出場することになり、タイに行ったんです。
タイは何度も訪れている大好きな国。20代のころ、整髪料のCM撮影で毎年、タイに行っていたのですが、言葉がわかればもっとおもしろいだろうなと思っていて。当時、メディアのインタビューで「今年はタイ語にチャンレンジします」なんて高らかに宣言したのに、その後、手つかずになっていたのがずっと引っかかっていたんですよね。口だけになっている自分が嫌だなと。それもあって、帰国後、すぐにタイ語教室に申し込みました。
── 20年前に実行されなかった宣言を回収されるとは、律儀な森脇さんらしい。10年もスクールで学んでいるなら、だいぶ上達されたのでは?
森脇さん:日常会話ならなんとかという程度ですが、早口で話されると厳しいですね。でも、この前、テレビ番組の収録でタイに行ったんですけど、現地の売店で僕がいきなりタイ語で注文しだしたもんだから、スタッフが驚いてました(笑)。タイ語ができる人ってあんまりいないから、ちょっとしか話せなくても、ペラペラに見えるみたいです。
── たしかにタイ語を話せる人は、周囲にもあんまりいない気がします。
森脇さん:需要はそんなにないかもしれませんが、僕の場合、プーケットマラソンへの出場もあって、毎年2~3回はタイに遊びに行くんです。ホテルや観光地のレストランは英語が通じるけれど、僕が行くのはローカルな店ばかりなので、タイ語で話せるほうがコミュニケーションも取りやすいし、人とのふれ合いも感じられておもしろいんです。いまもタイ語の本はつねに持ち歩いていて、空き時間があると必ず勉強していますね。頭を使うことで、認知症の予防にもなればいいなという目論見もあります。
── 50代の脳の活性化にもひと役かっているんですね。
森脇さん:最初のころは、勉強しても全然覚えることができなくて「こんなに覚えられへんもの?」とショックでしたけれど、続けているうちにだんだん勉強が楽しくなってきて。若いころのようにはいかないけれど、自分のペースで取り組んでいます。
PROFILE 森脇健児さん
もりわき・けんじ。1967年、大阪府生まれ。京都・洛南高校時代には陸上でインターハイ出場。高校在学中に芸能界入り。1990年代には『笑っていいとも!』『夢がMORI MORI』などの人気番組に多数出演。TBS『オールスター感謝祭』の人気企画「赤坂5丁目ミニマラソン」には2003年から連続出場。YouTube『やる気!元気!森脇チャンネル』更新中。
取材・文/西尾英子 写真提供/森脇健児