40代や50代になると、自分の記憶力が怪しくなってくる人もいるでしょう。「ま、しかたないかな」と思っても不思議じゃありません。ただ、タレントの森脇健児さんは、記憶力の低下に抗うべく、とんでもないチャレンジを始めていました。(全5回中の1回)

関西にいるから他地域の仕事に特別感を得られる

森脇健児さん
タイのパタヤビーチが似合う森脇さん

── 1990年代にブレイクして東京進出するも、『夢がMORI MORI』などのレギュラー番組終了に伴い、1999年以降は再び関西に戻り、京都を拠点に関西ローカルで活躍。最近は再び全国区のお仕事も増えていますが、拠点はそのまま関西に?

 

森脇さん:そうですね。関西を拠点にしているからこそ、東京に行くたび、修学旅行のような感覚でワクワクできるのもあるのかなと。いつものホテルに泊まって墨田川のほとりを走って、行きつけの焼き鳥屋でスタッフのお兄ちゃんと話をして21時には寝る。ルーティンは決まっているけれど、僕にとって特別感がありますね。

 

それに、地元のKBS京都という放送局にはすごく恩義を感じているんです。仕事がなにもないときからずっと起用してもらい、本当にありがたかったですね。ぼくら芸人は出していただける場があるからこそ、ネタも作るし、錆びないように努力もします。ぼくにとって、関西はすごく大事な場所なんです。

 

── 今年4月からは、新しいラジオ番組『森脇健児のぶっとび水曜日』(ラジオ大阪OBC)がスタートました。3時間の生放送だそうですね。

 

森脇さん:どうすれば視聴者の方に楽しんでもらえるだろうかと、いろいろ考えた末、番組のパートナーであるシンプレのなべちゃん(シンデレラエキスプレス・渡辺裕薫さん)と一緒に、毎回放送の前に、ネタ探しのために2人で街を散策しようと決めて実践しています。番組が14時から始まるので、11時にどこかの駅で待ち合わせをして、2人きりで、ひと駅歩き、街ゆく人に声をかけたり、おもしろそうなことをやっているところに飛び込んで話を聞いてみたり。街歩きでのエピソードをもとに、その日、ラジオの冒頭30分間で話すネタを考えているんです。街で出会った人たちには「この後、ラジオをやるので聴いてくださいね!」と番組のシールを配って、ちゃっかり宣伝活動もしています。

障がい者レストランで小さな優しさに出合う

── その日のネタをみずからの足で探されているとはスゴイですね。

 

森脇さん:ラジオの帯番組では、その日の時事ネタや社会ニュースなどを取り上げて掘り下げていくけれど、そこには太刀打ちできないし、僕よりもっと適した人がたくさんいます。同じことをやるよりも、もっと身近なローカル情報や、そこに住む街の人たちの息遣いが感じられるようなことを伝えていきたいなと。

 

森脇健児さん
毎週水曜日の昼2時から5時まで『森脇健児ぶっとび水曜日』(ラジオ大阪)を放送中

たとえば、この間、散策中にたまたま入ったレストランが、障がい者の方が接客を行う店だったんです。食べ終えて箸袋をみたら「いつも来てくれてありがとう。また来てください」と書かれていて。彼らが心を込めて、一つひとつお礼の言葉を書いていると聞いて、心が温かくなりました。自分たちでネタを探して、心が動いたことをリスナーさんに届けるので、実感がこもって伝わりやすいじゃないかなと思っているんです。

 

── ターゲットにしているリスナーはどんな人たちですか?

 

森脇さん:僕と同世代の40~50代くらい。ラジオ好きな人に聞いてもらえるとうれしいなと思っていて。いまはradikoのアプリを使えば、全国どこにいても地方ラジオを聴くことができますから、関西以外からもメッセージをいただくことが多いんです。まだ始まって半年なのでこれからですが、全国のラジオマニアに認められる番組にしていきたいですね。