4月から歯科業界の広報の社員に転職し、会社員とフリーアナウンサーの二足の鞋を履いている福田典子さん。2歳の母をしながら新しい環境に飛び込んだ現実は。(全4回中の4回)
子どもが小さいときにチャレンジすること
── 2024年3月に8年間勤めたテレビ東京を退職し、4月から歯科業界向けメディカルテック企業のSCOグループの広報として新たなスタートをきられました。転職をされて約半年経ちましたが、現状はいかがですか?
福田さん:プレスリリースを書いたり、新サービスの発表やイベントの準備を進めたりするのが今の主な業務です。広報としてはまだまだ駆け出しなので、毎日必死で勉強している最中ですね。この会社はスピード感がすごくあるので、ついていくのに必死というか。正直、まだそのスピードについていけず、特急列車が駆け抜けていく横で、ひとりとぼとぼと歩いているような感じです。プレスリリースひとつ書くのにも時間がかかっていますし、広報としてどう振る舞うべきか掴みきれていないので、小さな失敗も数知れず。トライ&エラーの繰り返しで、1日があっという間です。
── 新しい環境に馴染むまでは大変ですよね。
福田さん:充実はしていますが、仕事を楽しめるような余裕はまだないですね。テレビ東京を辞めるときに、母から言われた「子どもが小さいときに新しいジャンルにチャレンジするってすごく大変なことだと思うけど、本当にいいの?」という言葉の意味を今、噛みしめています。ただ、新しい世界に飛び込むと決めたのは私自身ですし、今はいろいろと勉強させてもらっている段階だと思うので、周りに感謝をしながら、人一倍頑張んなきゃいけないなと思っています。
── あらためて、テレビ東京を退職された理由を伺えますか?
福田さん:もともとやめる気なんてまったくなかったんです。「何か確執があって辞めたのでは?」と思われるかもしれませんが、テレビ東京は本当にいい会社ですし、アナウンス部もアットホームですごく仲がいいんですよ。佐々木明子さんを始め、何があるとすぐに手を差し伸べてくれる太陽のような先輩たちがいて、それぞれが自分らしくいられるような居心地のいい職場でした。
ただ、子どもが生まれたことで、限られた時間をどう使うのか、自分のキャリアや生き方について本気で考えるようになりました。スポーツを伝える仕事が好きで、テレビ東京時代はアスリートの取材も多数経験。健康管理や体づくりの大切さを実感し、ヘルスケアの分野に関心を持つようになりました。これまでのキャリアを生かし、健康とアナウンスを組み合わせたアナウンススクールをやるのもいいかもと考えていた矢先、SCOに勤める友人から、「広報として働いてみない?兼業も認められているからアナウンサーとして活動もできるよ」と声をかけてもらったんです。
将来的には自社メディアを持つのが目標と聞き、「取材経験やアナウンサーのキャリアを生かしながら、ヘルスケアの仕事に関わることができる。この選択肢は私のなかになかったな。それって楽しそう!」と心が躍りました。ヘルスケアの領域で、歯の情報は、世の中にあまり出てこないので、そこに光を当てられるような仕事ができるのは、すごくやりがいがあるのではないと考えたんです。