入社3か月で起きたこと

── テレビ局のアナウンサーという華やかなポジションを手放すことに未練はなかったですか?

 

福田さん:周りのみんなから「もったいない」と散々言われましたし、私も実際、迷いました。でも、その場で悩んで足踏みしているよりも、思い描いた未来にちょっとでもワクワクするのなら、動いてみようと思ったんです。ただ、辞めてみて思うのは、テレビ局という看板は、やっぱりすごく大きかったんだなということ。広報として働いてみて、メディアに情報を取り上げてもらう大変さも知りました。テレビ東京にいたおかげで出会えた人もたくさんいますし、本当に感謝しています。

 

──「元テレビ東京のアナウンサー」という肩書きがついて回ることは、ご自身にとって、あしかせになったりするのでしょうか。

 

福田さん:いえいえ、まったく。テレビ東京のアナウンサーだったことは誇りに思っていますし、辞めてみて改めてその影響力を感じます。「テレビ東京の看板にすがって…」と思われるかもしれませんが、自分としては胸を張って、これからも「元テレ東」の肩書をバンバン使っていきたいと思っています(笑)。

 

── 会社員とフリーアナウンサーの兼業という、これまでにない働き方の社員を受け入れるのは、会社としても初めてだったと思うのですが、スムーズにいきましたか?

 

福田さん:実は、入社から3か月くらい経ったころ、上司や同僚とぶつかってしまい、話し合いの場を持ちました。私の役割がいまひとつ明確でなかったこと、コミュニケーション不足により、情報共有がきちんとできていなかったことが原因でした。

 

── どういう状況だったのでしょうか。

 

福田さん:会社にとっていいご縁になればと思い、アナウンサーの仕事で出会った関係者などを紹介していたのですが、私としては、間を取り持つことで役割は終わりで、そこから先は、担当者同士で話が発展するものだと思っていたんです。ですが、会社としては、広報である私自身がそこからアクションを起こしてプロジェクトを進めていくことを期待してくれていたらしいんですね。上司や同僚からすれば、私の行動はやりっぱなしで無責任に映り、モヤモヤ。私からすれば、会社のために頑張っているつもりなのに、なぜか評価してもらえず、モヤモヤ。お互いに不満をためた状態でした。

 

話し合いの席で「本当はこういう風に動いて欲しいと思っているんだけど…」と初めて聞き、コミュニケーションの大切さを痛感。広報という役割をきちんと認識できていなかった自分の行動も反省しました。衝突したことによって、会社も「遠慮せずに伝えるようにするから」と言ってくれ、私もわからないことは曖昧にせずにどんどん聞こうと決めました。私に対する評価軸も難しいから、そこも話し合ってちゃんと決めていこう、と。みんなとしても、やりづらかったんだろうなと思います。

 

── 今の会社に入って、歯に対する意識は変わりましたか?

 

福田さん:すごく変わりました。歯の健康状態が損なわれると、さまざまな病気の原因になりますから、その前の段階で定期的にメンテナンスをする習慣を持つことが大事です。うちの子は今2歳ですが、小児歯科のメンテナンスに定期的に通うようになりました。正しい歯磨きの仕方を教えてもらえるだけでなく、虫歯ができそうな箇所がわかったり、「ここは入念に磨いてください」とか「顎がちっちゃいから、もっと噛む力つけましょうね」といったアドバイスもしてもらえたりもするので、良好な口腔環境を保てます。虫歯にならないと歯医者にはなかなかいかない人が多いと思いますが、3~4か月に1度をめどに、プロのメンテナンスを受けることで、口腔環境が悪化するのを防げますよ。

 

PROFILE 福田典子さん

ふくだ・のりこ。1991年、福岡県生まれ。立教大学経営学部卒業後、2013年にRKB毎日放送に入社。16年6月に退社し、同年8月テレビ東京に入社。24年3月末に退社し、同年4月、歯科医療系のメディカルテック企業SCOグループに転職。広報ブランディング部COC(Chief Oral health Communicator)に就任。フリーアナウンサーとしても活動中。

 

取材・文/西尾英子 写真提供/福田典子