刺激が欲しいあまりプライベートで迷走も…
── 実際に戦える赤井さんには、たくさん強い女性を演じてほしいです。
赤井さん:ありがとうございます。ひとつ注文をつけさせてもらうと、戦う女性キャラクターって基本的に武器携帯なんですね。ステゴロ(素手の殴り合い)で戦うキャラクターがいない。ステゴロの女性キャラがいれば演じてみたいです。
── たしかに素手で戦う女性キャラクターっていないですね。
赤井さん:格闘技漫画『グラップラー刃牙』が好きで、ステゴロは登場人物の花山薫の得意技。引退してから読み始めたので、現役のときに読んでいたらヒントになることがめちゃめちゃいっぱいあったのになぁ。一時、髪の毛を赤髪にしていたのは、範馬勇次郎を意識して、です(笑)。勇次郎推しですけど、ビスケット・オリバも好きで、オリバのステッカーも持っています(と、赤井さん私物のステッカーを見せてくれる)。
勇次郎はぶっ飛んでいるのがおもしろいので、プロレスの世界にもああいう浮世離れしている人がいたらもっと盛り上がるのに、って『グラップラー刃牙』を読みながら思いますね。
── 範馬勇次郎みたいなぶっ飛んだ女性キャラクターなら、赤井さんのように格闘技ができる人じゃないと演じられないですよね。
赤井さん:ゲーム『龍が如く』では戦うキャバ嬢を演じたこともあって、戦うキャラクターは演じていてとにかく楽しいんですよ。私、身長が174cmあるので男性役でもいいから、体ひとつで戦うキャラクターを演じる日が来ればいいなって念じています。
── お話を聞いていると、赤井さんは緊張感のある生き方が理想なのかな、と感じます。
赤井さん:刺激がなくなったら、自分ではなくなっちゃうんじゃないかって不安です。死ぬかもしれない気持ちを抱えながらプロレスをするのが日常だったので、引退後は気が抜けたみたいになってしまって。刺激がほしいあまりプライベートで迷走しかけたことがあります。高いところが好きでもないのにスカイダイビングをしようとしたり、なぜか和太鼓をしようとしたり(笑)。和太鼓が上手になって、DDTの選手入場時に私が叩けたらおもしろいなとか。結局、全部プロレスにつなげちゃうんですけど。
挑戦していないと気が済まないっていうか、止まっちゃうとつまらないし、止まった自分を想像すると不安になるんです。緊張していたいですね。リングじゃないところでも戦っていけたらなって思います。
PROFILE 赤井沙希さん
あかい・さき。1987年生まれ。京都府出身。スカウトされ、高校時代にモデルデビューを果たす。芸能活動を続けながら、2013年にDDTプロレス両国国技館でプロレスデビュー。2023年11月にプロレスラーを引退し、現在は芸能活動、DDTの裏方、エステサロン経営と忙しい日々を送っている。
取材・文/津島千佳 写真提供/赤井沙希