故・竹下登元総理を祖父に、ミュージシャンのDAIGOさんと女優の北川景子さんを弟夫婦に持つ漫画家の影木栄貴さん。エッセイ『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』を上梓して話題の影木さんに、50歳で結婚した理由と結婚生活について伺いました。(全3回中の3回)

夫とは結婚したい理由がほぼ同じだった

ウエディングドレス姿の影木栄貴さん(『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』より)
大人の美しさが光る、ウエディングドレス姿の影木さん(『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』より)

── 有名であることが不利に働くという理由から、マッチングアプリや結婚相談所は使わず、知人に“婚活宣言”をしていい人を紹介してもらうという形で婚活されていました。1歳年上のご主人とは行きつけのマッサージ店で紹介されて出会ったそうですね。“この人だ”と思えたのはどういうところでしょう?

 

影木さん:婚活を始めてから夫に出会うまでの約4年間、たくさんの男性と出会って、なかにはおつき合いした方もいたんですが、結局は自然消滅してしまって。その彼らと出会ったときも“この人だ!”とは思ってたんですけど…。

 

── 常にベストだと思ってはいるんですね。

 

影木さん:そうそう。毎回、“この人だ”ってポジティブに思ってるわけです。私は基本的に、未来には疑いと期待と半々ずつ持っているんですが、過去については、“いいところ探し”をするタイプで(笑)。過去はすべていい思い出になっちゃってるんですよね。

 

── 過去の人とはくらべられないと。では、ご主人と続いているポイントはどこにあると思いますか。

 

影木さん:やっぱり夫が「栄子ちゃんの言う通りでいいよ」って、私の考えを優先するスタンスでいてくれることですかね。あとは、私の仕事をちゃんと尊敬してくれていて、おもしろがってくれるところ。そして私も、夫の鍼灸マッサージ師という職業をリスペクトしているので。とはいえ、最初に紹介されてLINEでやりとりを始めたときは、夫の文面には絵文字ひとつなくて、本当に堅苦しくて。第一印象はあんまりよくなかったんです。

 

── 最初はそういう感じだったんですね。

 

影木さん:でも初めて会ったときに、本当に気さくで優しい感じで。しかも、酒、タバコ、ギャンブル、女はやらない。借金もない。それに、お互いに結婚したい動機が近かったんです。夫も忙しすぎて自律神経を乱して、パニック障害みたいになっちゃった時期があって、そのときに「ひとりでいたら怖いな」と思ったそうで。その価値観が完全に一致したんですよ。それまでの人とは、金銭感覚とかクリエイティブな感覚とか、合うところと合わないところがあったんですが、夫とは合わないところほとんどなかったのが大きかったです。

 

『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』より
『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』より
『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』より
初めて会ったときから夫とは価値観が合うと感じたそう(『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』より)

私は、酒やタバコはやらないけど、ギャンブルは好きで。でも夫は自分がやらないからといって私にやるなとは言わない。逆に「勝ってきてね」って言われるから、私は「頑張ってくるわ~」って出かけています(笑)。

 

あと、前につき合っていた彼には、私が毎回おごっていたんです。でも、夫は率先しておごってくれようとするんですよ。年齢的にもアシスタントさんとかにおごる立場なので、おごられるとちょっとキュンってしますよね。昭和の感覚ですけど(笑)。

 

── 普段おごっている側だと、そういう気持ちになりそうです。

 

影木さん:きれいごとじゃないって思ったのは、やっぱりお金ですね。金銭感覚がまったく合わない人と結婚してもうまくいかなかっただろうなっていうのは、今になってわかります。夫と3回目のデートは私の誕生日だったので、恋人リングが欲しいって言ったら、さらっと買ってくれて。婚約指輪も好きなものを選んでいいよと。自分がナチュラルに金がかかる女だと、結婚する過程で初めて知りました(笑)。

 

── それまで気づかなかったんですね(笑)。

 

影木さん:結婚式はせず、ウエディングフォトと家族の食事会で済ませたのですが、「DAIGOと景子ちゃんの結婚式と同じ場所でいいんじゃない」って何も考えずに言っちゃったり、ドレスもDAIGOのときと同じ桂由美さんに頼んだり。費用は夫婦で半分ずつ出し合ったのですが、「栄子ちゃんがやりたいなら」と、夫は全部つき合ってくれて。私たちは基本的に財布は別で、夫がいくら貯金しているかは知らないから、もしかしたら今、財布の中身はスカスカかもしれない(笑)。それでも私に合わせてくれたというのは、結構大事なことだったと思います。

 

『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』より
影木さんが結婚を報告したとき、DAIGOさんが放ったひと言(『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』より)

── 金銭感覚は重要ですよね。DAIGOさんからは「お姉ちゃんは絶対結婚できない」と言われつづけていたそうですが、結婚を報告したらどういう反応でしたか? 

 

影木さん:私が創作で悩んで夜中にうつうつとしていた暗黒期を知っているDAIGOには、そんな私と一緒になる人なんていないよ、って言われていました。だから、結婚するって言ったら「お金だけは持ってるから、だまされてるんじゃない?」って言われて。DAIGOも実際に夫に会ってそういう人じゃないとわかってくれましたが、たしかに最初は私も疑いましたから(笑)。長男は「旦那さんはお前がどういう人間かを知ってるのか?全力で謝らないと!」って言っていましたし。弟たちは私が人としてどうかと思っているみたいで(苦笑)。私も年をとってだいぶおだやかで陽気になったので、それから出会った義妹の景子ちゃんは、素直に受け入れてくれてたんですけどね。

 

『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』より
義妹の北川景子さんとは普段から仲良し(『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』より)