発作で倒れ「ひとりでいるのが怖くなった」

── 30代はアスラン・ザラに人生一番という大恋愛をされて。その後、44歳で本格的に婚活を始めたそうですが、きっかけは何でしたか?

 

影木さん:漫画に全力を注いで無茶していたこともあって、43歳のときに自律神経に不調をきたし、突然発作に襲われて家で倒れたことがあったんです。そのときは実家に戻っていたので、両親に助けられてなんとかなりました。でも、DAIGOは結婚して実家を出てしまったし、これで両親が順番通り先に亡くなったら私はひとりぼっちになる。倒れたときは死ぬほど苦しかったので、ひとりで発作に襲われたら、絶対にパニックになるだろうと思いました。

 

漫画家の影木栄貴さん
44歳で婚活を始め、50歳にしてめでたく結婚!

── それほど強い発作を経験したのですね。

 

影木さん:すごかったです。発作の症状はその後もたびたび起こったので、家に誰もいないと不安で心臓がバクバクして、怖かった時期がありました。そういう体験をすると、“おひとりさま”という選択肢がありえなくなってしまった。もしも両親が私が死ぬまで生きていてくれたら、私は一生結婚しなくてもよかったんですけど。どう考えても順番的に私は残されてしまうので、ひとりは絶対に嫌!と思って、婚活を始めることに。自由でいたいけれど、とても寂しがり屋でひとりだと死んじゃうっていう。わがままなんですけどね。

 

今も実家で暮らしていて、両親から「働くニート」と言われている私ですが、この前、父が心不全で入院したときには、私が家族のサポートを完璧にこなしたんですよ。それで両親は、思いのほか私が役に立つと気づいたみたいです(笑)。

 

PROFILE 影木栄貴さん

えいき・えいき。漫画家。1996年『運命にKISS』(新書館)でデビュー。以後、少女漫画、BL漫画、百合漫画、エッセイ漫画などで活動中。現在は原作・原案を多く手掛ける。代表作『LOVE STAGE!!』はアニメ化、映画化、タイではドラマ化もされた。今年5月に、50歳で結婚した経緯をつづったエッセイ『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』(KADOKAWA)を上梓。母方の祖父は第74代内閣総理大臣の故竹下登、弟にBREAKERZのボーカル・DAIGO、義妹は北川景子。

 

取材・文/小新井知子 写真提供/影木栄貴、KADOKAWA