ラグビー元日本代表選手として活躍し、昨季で17年間の現役生活から引退した田中史朗さん。引退会見で「妻のおかげで最高に幸せなラグビー人生が送れた」と語った通り、3大会連続W杯出場した夫を支えたのは、元アスリートの妻・智美さんでした。(全2回中の1回)
再会した当時は、ほかに好きな人がいた
── ご主人の田中史朗さんが引退されてから数か月経ちました。智美さんも引退を実感されていますか?
智美さん:主人の引退は4月の会見から感じていましたが、ラグビー場で引退試合を見て“引退するのだな”という実感が湧きました。現役時代は常に緊張感がありましたけど、今は選手としてはプレーしないので、主人もそうだと思いますが、穏やかに過ごせているような気がします。
── 引退されることはどのタイミングで報告を受けたのでしょうか?
智美さん:主人はNECグリーンロケッツ東葛でプレーしていて千葉に単身赴任中だったので、一番最初は引退を電話で伝えられたんです。その会話を娘がこっそり聞いてたみたいで。その後、主人が直接小学生の子どもたちに引退することを伝えたときに娘は、「もう知ってたよ。わかってたよ」って。息子の方はちょっと驚いてましたけど。
── そもそも智美さんと田中選手との出会いはいつだったんですか?
智美さん:主人は三洋電機のラグビー部で私は同社のバドミントン部でプレーしていたんです。ラグビーのリーグ戦が開幕する直前のキックオフパーティー後の会食で交流したのが最初でした。主人は当時すでに日本代表選手。ラグビーは体の大きな人同士が激しくぶつかり合う競技だという印象が強かったので、こんな小さな人が日本代表として活躍できていることがすごいなという驚きがありました。
── すぐにおつき合いされたんですか?
智美さん:主人は当時、群馬を拠点としていたんです。その後、私が大阪から東京にあるヨネックス株式会社に移籍してたので、みんなで1度、食事でもしようかという話になって。それがきっかけでその後、つき合うように。実は当時、私にはほかに好きな人がいたんですが、それでも主人は「少しずつ好きになってくれればいいから」と何度もアプローチしてくれて。「この人なら自分をすごく大事にしてくれるんだろうな」「幸せにしてくれる人ってこういう人なのかな」と、気持ちが少しずつ動いていったんです。