「出て行け!」義母との同居介護で再発し

内海和子さん(Instagramより)
眼鏡姿もかわいい!(Instagramより)

── 快方に向かっていたパニック障害が再発したそうですが、何があったのでしょうか?

 

内海さん:新しい原因が重なって再発し、数日入院しました。それは義母との同居と介護なんです。介護といっても重度ではなくて認知機能の障害、運動症状や自律神経症状、睡眠障害のある認知症のひとつ「レビー小体型認知症」で、義母の場合はネガティブな感情になりやすく、周囲に感情的にあたったり、筋肉がこわばり体が思うようには動かなくなってきたりする症状で、生活のお世話をする必要があり、義父が亡くなり家を建て替えることになったタイミングで2022年頃から同居が始まりました。

 

すでに同居していた私の母とも一緒に生活することになったわけなのですが、母と義母は86歳と同い年で。なのにまったく違うんですよ。母はキャリアウーマンみたいな人で、朝はメイクをしてバシッと動き回るポジティブの典型のようなタイプ。いっぽう、義母はネガティブの典型で、私がやることなすことネガティブにとらえるんです。次第に私ともぶつかることが多くなっていって。

 

同居するまで義母との関係は良好でとても仲がよかったのに、一緒に生活すると大きな差があって「こんなに違うのか」と。私は家族なんだから義母も母も同じ扱いなんですよ。でも生活していくと細かな違いが積もって亀裂が入り、ストレスが増え「出ていけ!」と言ったことがあるくらい。義母は「だったら私が出て行けばいいんですよね?」という感じで応戦してくる(笑)。

 

── たとえば、どんなことがぶつかる原因になったりするのですか?

 

内海さん:義父が亡くなり食生活が乱れていた義母に、よかれと思って、オーガニック野菜などをそろえ、決まった時間に手の込んだご飯を作ったんです。けれど「和子さんの作るものは全部、材料が高いから」と言われて。ショックを受けました。義母の体にいいものをと思って出しているのに、義母にしてみたら高いものを選ぶ私への不満でしかない。その価値観の違い。「あー、そうとらえるんだ」って発見して、本当に勉強になりますよ。そこからもう何を買っても「買うものがすべて高い」と言われるんです。普通のスーパーで買ったものでも、ですよ。これが夫だったら離婚するなと思うくらい。でもこれだけは言いたい。義母は同居を始めてフィジカル面では家族で誰よりも元気になりました(笑)。

 

お料理上手な内海和子さんの食卓(Instagramより)
お料理上手な内海さんの食卓(Instagramより)

── 摩擦はあれどもお義母さんのことを放ってはおけない状況かと思いますが、ご自身の体のことも考えないといけないですよね。パニック障害とはどのように向き合っているのでしょうか?

 

内海さん:私ができないときは母が老々介護で義母に尽くしてくれました。ただ、そんな高齢の母のフォローもしなくてはいけない。繰り返していると、精神的なダメージがやはりあって、パニック障害でまた数日入院したことがありました。先生から「完璧にやるのは大事だけど、息抜きも必要」と言われて、義母を半分ショートステイに出すことにしました。先生に「それは罪悪感じゃないよ。お義母さんのためにもやらなきゃいけないことだよ」と言ってもらえて、心がラクになりました。



義母は、長年住んでいた熱海の家と東京は勝手が違いますから、外に出なくなるんです。一日中ベッドに座ってテレビ見ているばかりで、筋力が衰え歩けなくなってきて。地元の熱海でショートステイをしてメリハリのある生活にしようということになり、今はお互いいい距離感を保つことができています。義母にとっても、私にとっても、息抜きと生活のメリハリは大事だなと思っているところです。

 

PROFILE 内海和子さん

うつみ・かずこ。1967年生まれ。東京都出身。子役時代を経て、1985年4月にテレビ番組「夕やけニャンニャン」のおニャン子クラブのメンバーとしてオーディションに合格し2年半活動。卒業後は芸能活動の傍らカーレーサーとしても活躍。芸能活動を一区切りさせ結婚・出産。愛娘・ゆりあんぬはライブアイドルとして活躍中。近年はパニック障害で闘病した経験も公表。娘や家族との日々の様子をSNSやブログで発信している。

取材・文/加藤文惠 写真提供/内海和子