娘が目の二重整形を事後報告。殴り合い寸前の親子喧嘩に発展

内海和子さんと娘のゆりあんぬさん
2023年のライブ「年忘れとクリスマス会」にて。後列左が内海さん

── 娘・ゆりあんぬさんと親子二人三脚で親子関係も順風満帆だったように思いますが、ゆりあんぬさんの反抗期などはありましたか?

 

内海さん:親子ぐるみで仲よくしていた周りの子たちはやはり成長過程で反抗期があったのに、うちはなかったんです。それで、今がめちゃくちゃ反抗期なんです(笑)。

 

── 今が反抗期?何があったのでしょうか?

 

内海さん:20歳の誕生日を迎える1週間くらい前に娘が目を二重にする美容整形をしたんですけど、私に言うと許してくれないと思ったのか、事後報告で知らされました。ママに言うと怒られる。じゃあパパかおばあちゃんか、叔母である私の妹に言えばハンコは押してくれるだろうって考えたんでしょうね。未成年ですから手術承諾書が必要で、夫にサインさせ、私の母を病院に同伴して手術していたんです。娘は一枚上手でしたね。

 

術後すぐは目が腫れているからバレバレで、当然、家に帰れないわけですよ。それでいきなり帰宅する前にワンクッション「ママ二重にしたよ!今、小籠包食べてる」って、普通のテンションで報告のLINEが来て。それを見るや血圧が一気に上がって、「なんですって!?」と。怒りというか、驚きというか、ショックすぎて、もう何も言えなかったです。言うと大爆発してしまうから。

 

それで娘は帰宅するなり「麻婆豆腐食べたい~」とかのんきなことを言うし、私は手も震えるくらいの怒りで。会って開口一番なんて言えばいいのかと言葉を選ぶのに、頭の中はグルグルしていました。結局、感情が抑えきれず「あなた、何考えてるの!!」ってなったんですけど(笑)。もう冷静じゃないから、殴り合い寸前の大ゲンカですよ。

 

── たしかに、突然のことに驚かれたでしょうね。

 

内海さん:娘の気持ちがわからなくもないんです。一重の目を気にしていることは知っていましたし、娘の周りではプチ整形が浸透してきていて。整形自体のハードルが低く、隠すようなこともない時代になっていますよね。かく言う私だって、「きれいになりたい」という願望はありますし、ヒアルロン酸注射など、美容医療の経験はありましたから。でも自分の娘が顔にメスを入れたとなると衝撃で。やはり自分の娘ですから、一重だろうとどうであろうとかわいいって思っているわけですよ。それを変えることへのショック。本当にショックでした。

 

内海和子さんと娘のゆりあんぬさん(Instagramより)
今ではテレビで親子共演をすることも(Instagramより)

── 内海さんの感覚とゆりあんぬさんの感覚にも違いがありそうですね。

 

内海さん:私の時代の感覚とはギャップがあって、娘からは「ママの時代とは違うんだよ」って言われます。私はおニャン子時代、足の太さを指摘されたことはあったけど、体系的なコンプレックスはそんなになかったんですよ。見た目ではなく「私には歌がある」っていう自信がありましたし。

 

娘は足が太いと感じると「じゃあ、足にボトックス打ってくる」といった具合にすぐに注射を打って解決するわけです。私は「じゃあ、ジムに行って鍛える」って発想になるんですけど、その感覚があまりに違う。二重についても「アイプチを年間にしたら何本買うと思ってるの?一生買い続けるなら整形したほうが安いよ。ママだって、しわ対策の美容クリームに何万も払い続けるなら美容医療のほうがよくない?」って。娘の言うこともごもっともだから全否定はできないですよね。

 

私の周りには、もちろん整形している人もいますけど、大人だからきちんと自分の判断基準があるでしょうし、さまざまなことを想像して、リスクやメリットを理解して決めているんだと思います。けれど、子どもは短絡的というか、思いつきで無防備にやっていくから、親しかストッパーにはなれないと思うんですよ。19歳の娘の態度を見て、そのときは大人になるのが早いなっていうショックもあり、今後、自分がどうやって親として娘に危険なことを伝えたらいいか、説得ができるのか、という不安がありましたね。

 

娘は私の所有物じゃないですけど、成人したいま「美容整形を繰り返す娘のアイデンティティってなんだろう?」ということは考えてしまいました。娘の美意識は、加齢による美容医療とは違うと思うんですよね。でも彼女にとって優先順位が美であって、そのためにお金を貯めたり、節約といって電車を使う距離も歩いたり、外食はせずご飯は持参したり、その努力は、はたから見ていて感心するほど。

 

夫は「親だからといって、娘の美意識を否定してはいけない」と言うんです。そこに対して娘も成人したひとりの女性であり、娘の意思を否定していくと娘の人格や生き方の否定にもなりますから、慎重に向き合わないといけないとも思います。

 

でも正直、「そんなきれいごとで理解できるの?」と夫に思う部分があり、まだすべてが咀嚼できたわけではないんです。けれど、娘が本当に人間としてきちんと生きていくための手段が美容整形なのであれば、認めていかなくちゃいけないなって。それで明るくなったり楽しんだりしている様子をみると「これもアリなのかな」と意識を徐々に、新たにしているところです。

 

PROFILE 内海和子さん

うつみ・かずこ。1967年生まれ。東京都出身。子役時代を経て、1985年4月にテレビ番組「夕やけニャンニャン」のおニャン子クラブのメンバーとしてオーディションに合格し2年半活動。卒業後は芸能活動の傍らカーレーサーとしても活躍。芸能活動を一区切りさせ結婚・出産。愛娘のゆりあんぬはライブアイドルとして活躍中。近年はパニック障害で闘病した経験も公表。娘や家族との日々の様子をSNSやブログで発信している。

取材・文/加藤文惠 写真提供/内海和子