何がやりたいかわからなくなり行き着いたのが「スイーツの道」

── 食を仕事にしようと思ったきっかけは何だったのでしょう?

 

宮前さん:そのころ、食事はあくまでも自分を整えるため。人様に何か役立つことをしようとはぜんぜん考えていませんでした。でも、芸能界で長く続けていけるイメージを持てなかったんです。すごい人たちの集まりで、何かに抜きんでている人たちがいる場所ですから。いちばんになれなくても楽しく仕事ができれば続けられるのかもしれないけれど、当時の私は芸能界でのお仕事の楽しさもわからなくなっていました。

 

現在の宮前真樹さん
自身のプロデュースブランド商品の販売のため、ショップチャンネルに出演も

── 当時やっていた仕事に対して、情熱が持ちつづけられなくなっていたのですね。

 

宮前さん:アイドルになりたくて芸能界に入って、100点満点だっていったんは満足したんです。でも、アイドルを卒業してタレントとして活動を始めたら、自分が何をしたいのかわからなくなって。女優をやりたいとは思えないし、バラエティもそこまで向いていると思えない。20代前半から次は何をしようってずっと考えていました。

 

実は、子どものころからケーキ作りが好きで、将来スイーツを作る仕事ができたらいいなとぼんやり思っていました。そんなことを考えるうちに、そうだ、ケーキ作りを教える仕事がしたい!と思ったんです。それで結局、30歳で芸能界を引退しました。

 

芸能界のお仕事をやめたことで、いろいろなストレスから解放されましたね。インドアだったのが外に出て陽に当たったり、積極的に人に会ったり、自炊をしたり。そうしているうちに体調も良くなって、10代の後半から10年くらいずっと悩まされていた肌あれも、まったくなくなりました。

 

PROFILE 宮前真樹さん

みやまえ・まき。1973年生まれ、新潟県出身。1989年、アイドルグループ・CoCoのメンバーとしてデビュー。2004年に芸能界を引退後、ル・コルドン・ブルー東京校にて製菓の基礎を学ぶ。2909年より食育活動を開始。ロールケーキブランド「maq bon」代表、犬の管理栄養士など多岐にわたって活動。

 

取材・文/原田早知 写真提供/宮前真樹