息子を見て「私も頑張りたい」

── 芸能界復帰には何かきっかけがあったんですか。

 

MIZUHOさん:アーティストの六地蔵さんからMV出演のお話をいただいて、俳優の斉藤祥太さんと一緒に撮影して芸能の仕事を再開した感じです。あとは、以前の勤務先のお客様から、「ZONEに再結成してもらって、歌ってもらえないかな」とオファーされたことがありました。前の事務所から連絡先を交換するのは禁止されていたので、全員の連絡先を知っていたわけではなかったのですが、人を通して繋がって、ボーカルのMIYU以外の3人で集まったんです。MAIKOと、TOMOKAに「こういう話があるんだけどどうかな」と話して、賛同してもらえました。

 

MIZUHOさんと斉藤祥太さん
斉藤祥太さん(写真右)とMV撮影中のMIZUHOさん(写真左)

でもやはりMIYUの連絡先がわからなくて、いったんはお断りをしました。去年いっぱい探していたんですけど、やっぱり会えませんでした。ぜひ事務所などに連絡してほしいなと思っているのですが…。でも一番は本人の気持ちを大切にしたいので、結成をするかどうかは別にして、また元気にみんなで会えたらいいなと思っています。

 

── 2011年に、MIZUHOさん以外の3人は『secret base〜君がくれたもの〜』の歌詞にちなんで、10年後に再結成されていますよね。

 

MIZUHOさん:私はその際はお断りしていたんです。当時、息子が2歳でまだ小さかったのと、すでにほかで働いていたので現実的に活動をするのが厳しかったからです。それに長い期間、芸能界を離れて生活していたので、もう戻れないだろうと思っていました。でも断った後に、私がもうドラムが叩けないからだと週刊誌に書かれました。事実とまったく違うことが世の中に出てしまって、「そうじゃないのにな」という思いがずっとあります。

 

昔はもっとひどいことを書かれていて、そんなこと言われる必要ないよねとみんなでよく言っていました。人の親になったからかもしれませんが、「これからの人生がそれぞれにあるのに」と思うと悔しくて、いまだになんとかならないのかなと思うことが多いですね。

 

── 芸能界に復帰する前に、ドラムも再開したそうですね。

 

MIZUHOさん:ドラムからはだいぶ離れていたのですが、去年再結成のお話をいただいたときに「練習したいな」と思ってまた再開しました。週に1回の趣味程度で、リハビリのように始めたんですが、練習をしているうちに人前で演奏してみたいという気持ちが生まれてきました。今はイベントでドラムの演奏をさせてもらっています。

 

ドラムを再開しようと思ったのは、ある程度、息子が大きくなったのと、息子が部活などを頑張っている姿を見たら自分も何か頑張りたいなと思ったんです。年齢に関係なく、やりたいと思ったことはすべきだなと思っていて。どこまでやれるかはわからないのですが、夢を持つことや、やりたいという気持ちってなかなか持てるものではないと思います。やりたい「けど」とか、「でも」というのをやめて、とにかくやってみようと。何にもならないかもしれないのですが、どうせならやって後悔したいなって。

 

── イベントで演奏する機会もあるとのことですが、久々にステージに立ってみていかがですか。

 

MIZUHOさん:前の事務所の方に辞める前に言われたことなんですが、「一度ステージに立った人はその感覚を忘れることはできないから、絶対戻りたくなる」って。当時はその言葉の意味がわからないまま辞めたのですが、再び人前に立つようになって、ようやくそういうことかと思えています。

 

自分が好きなことで、楽しいからという理由だけではなく、人が何をしたら喜んでくれるかを考えられるようになったのも変わったことですね。ドラムを演奏すると、みんなが笑顔になるんです。自分はこういう世界で人を喜ばせることができるんだと思えたら、誰かのためになれるって最高なことだなと思っています。自分を見て、何かを頑張ろうと思ってくれる人がひとりでもいるならば、頑張る意味があるなと。もちろん、自分のためでもありますが、これからは人が喜んでもらえるような活動をしていきたいと思っています。

 

PROFILE MIZUHOさん

1986年生まれ。ガールズバンドグループZONEの元メンバーでドラム担当。2001年に『GOOD DAYS』でメジャーデビュー。『secret base〜君がくれたもの〜』が大ヒットし、紅白歌合戦にも3度出場。脱退を表明後、2005年4月にバンドが解散、その後はバーテンダーとして札幌市内で働く。現在の所属事務所は44プロダクション。プライベートでは1児の母。

 

取材・文/内橋明日香 写真提供/MIZUHO