グラビアアイドルとして活躍していた川村ひかるさん。30代半ばで脳に動脈瘤が見つかります。さらに妊活を始めると今度は夫の男性不妊が判明。激動の30代を振り返ります。(全4回中の2回)

健康には気をつけていたのに脳の動脈瘤が…

川村ひかる

── 若年性更年期と診断されてから、健康には特に気をつけていたそうですが、30代半ばで脳に動脈瘤が見つかったそうですね。

 

川村さん: はい。もともと私は20代で子宮内膜症、30代前半で若年性更年期と診断され、「妊娠は難しいかもしれない」と医師から告げられていたんです。だから、体質改善しようと食生活を徹底的に見直していました。おかげで、検査をしても数値がよくなったし、運動を楽しめるくらい元気になっていました。

 

ところが30代半ばになり、これまで感じたことがないような激しい頭痛があって…。念のため病院に行き、MRI検査を受けたら、脳の血管に「動脈瘤」が見つかりました。万が一、動脈瘤が破裂すると、くも膜下出血などを起こすおそれがあると言われました。さいわい私の動脈瘤はまだ小さかったので、まずは1年に1度検査するようにと医師に言われました。でも、健康には気をつかっていただけに、まさか脳に病気が見つかるなんて…ショックでした。

 

── さらに、その後の妊活も大変だったと伺いました。

 

川村さん:動脈瘤が見つかったころに夫に出会い、いろいろと親身になってくれました。優しい人柄にひかれ結婚を意識していきました。でも、子宮内膜症や若年性更年期と診断され、子どもを授かれるかわからなかったし、脳に動脈瘤があるため、今後の体調にも不安がありました。そのため、パートナーができたら、すぐにでも妊活を始めたかったんです。

 

だから夫には「おつき合いするなら結婚前提で。私は妊娠できるかわからないから、入籍前に検査を受けてみよう」とお願いし、ブライダルチェックを受けることにしました。

 

検査の結果、私のホルモン数値は体質改善により正常に戻っていました。子宮内膜症の症状もまったくなくて、妊娠も可能だろうと診断されたんです。ところが、まさかの夫が検査に引っかかって…。精液はあるけれど精子が見つからないと言われてしまったんです。

「夫の男性不妊が判明」寄り添った6か月の歩み

── ご主人はショックを受けていたのではないでしょうか?

 

川村さん:はい。夫は私に協力するつもりで検査を受けてくれました。まさか自分に不妊の原因があるとは想像もしていなかったようです。たまたま担当の先生が、精巣を切って精子を直接採取する「TESE(精巣内精子採取術)」という手術ができる方だったんです。当時はまだその技術を持っている医師が日本で数名しかいませんでした。その先生も、予約がいっぱいで実際に手術ができるのは半年後でした。

 

私はすでに35歳だったので、時間が経つとそれだけ妊娠できる確率が下がります。先生も「とりあえず空いている日に予約を入れておきましょう。嫌になったらキャンセルしてもいいですよ」と、有無を言わさない形で手術の日が決まりました。

 

── 手術までの半年間、ご主人にはどのように寄り添いましたか?

 

川村さん:とてもデリケートな問題だから、夫が気を落とさないようにしていました。子どもをあきらめてほしくなかったので工夫もしました。たとえば、いろんな家族の写真を集めて、スケッチブックにたくさん貼ったんです。一緒にそのスケッチブックを見ながら「子どもができたら、いろんなところに行って、一緒にたくさん遊ぼう、子ども部屋はこんな感じにしよう。絶対明るい未来が待っているから頑張ろうね」などと、いろんな話をして子どもがいる生活のイメージを膨らませました。

 

おかげで、夫も前向きに手術に臨め、無事に精子を採取することができました。「妊活の最終手段」と言われる、顕微鏡で確認しながら精子を卵子に直接注入する「顕微授精」を行い、妊娠しました。