「自分よりもあの子のほうが…」。他人と自分を比較することで心が苦しくなった時期があったという高橋真麻さん。苦しみの原因と向き合ったのは30歳の頃だったそうです。(全5回中の2回)
「ちょっと羨ましい」は健全だけど
── 心と体を健やかに保つために、普段から心がけていることはありますか?
高橋さん:人と比べないことですね。たとえば「あの家はジジババが子どもの面倒を見てくれるのにうちは…」とか、夫に関しても「子どものことはやってくれるけれど、あの家の旦那さんは家事もやってくれるし、奥さんへの愛情表現もするらしいよ」とか。人と比べ始めたら、いろんなことが気になっちゃってキリがない。だから「比べても仕方ない」と自分に言い聞かせています。
── 比較しないことは大事ですよね。ただ人間のサガとして、どうしても他人と比較することから逃れられないという面はありますよね。
高橋さん:「ちょっと羨ましいな」くらいの感覚は、別に健全だと思うんです。考えすぎて落ち込んだり、そこに執着してしまうと、心が健やかでなくなってしまいます。ですから、とにかく自分のなかで「比較しない」と決めておくだけも違ってきます。そもそも、みんなネガティブな部分はあまりオープンにしませんから、自分が見ているのは、表面上のほんの一部分にすぎませんよね。それなのに、いちいち比べて落ち込むなんて、あまり意味がないなと思うんです。
── 人と比べない考え方は、昔からですか?
高橋さん:いえ、大人になってからでしたね。社会人になってから、「自分よりもあの子の方が、仕事が多くていいな」とか「同じことをやっても私だけ上司に叱られる。なんであの子はうまくやっているんだろう…」などと、いろいろ考えちゃって、心が苦しくなった時期があったんです。
でも、その苦しさの原因をみつめてみたら、他人と自分を比較する癖があるからだと気づきました。そもそも環境も性格も置かれた状況もすべて違うのに、比べても仕方ない。もっとラクに生きるには、そういう気持ちをいったん手放すことが大事だなと感じたんです。30歳を過ぎた頃ですね。それでも、今もつい比べてしまうときはあります。なるべく意識的に比較しないようにと心がけて、そこに固執しないようにしていますね。
もうひとつ、自分のなかで大切にしていることがあって、それは「背伸びをしない」ということです。
── たとえばどんな場面でしょう?
高橋さん:コメンテーターのお仕事のときに、わかったふりをして背伸びをした発言はしないようにしています。等身大の自分で、身の丈に合ったことをするほうが自然体でいられますし。お金の使い方についても同様です。贅沢をしているイメージがあるのか、よく「子どもの洋服もブランドものなんでしょ?」などと言われたりするのですが、うちは全部、西松屋さんです。おにぎりとか、アルパカの絵が描かれたTシャツを着ている我が子を見ると、「あ~、可愛い!」ってホッコリします(笑)。
別に、ブランドものを着せている親御さんを悪く言っているのではなく、私はそこに価値を感じていないだけ。自分の身の丈にあった生活や考え方をしていたいなと思うだけです。