ふたり目も不妊治療を経験し

── 衛藤さんは不妊治療をされたと聞きました。その経緯をお伺いしてもよろしいですか?

 

衛藤さん:夫のチームメイトにはお子さんがいる方が多く、夫も私もなるべく早いタイミングで授かれたらという希望がありました。妊活の雑誌を見て「1年妊娠ができなければクリニックに行ってみて」と書いてあり、受診することにしたんです。すると私に多嚢胞性卵巣症候群という症状が見つかり、排卵障害があることがわかりました。

 

治療についてはセンシティブな内容なので周りには話せませんでした。母は自然妊娠で3人産んでいたので、「いつか自然にできるんじゃないの?」という考え方でしたから、最初は相談できなくて。治療は痛いし、お金もかかる。治療したからといって、必ず妊娠する保証もない。終わりの見えない治療はなかなか理解されづらい。そんなつらい状況のなか、私の気持ちを誰よりしっかり受け止めてくれたのは夫でした。妊娠って、最後は運というか、自然の摂理というか。だから最後は自分を信じるしかない。最終的にはそんな心境になりました。

 

先生と相談して治療をはじめ、私の場合は2回目の体外受精で長男を授かりました。そのときは心の底から嬉しかったです。

 

不妊治療の末お子さんを授かった

── 排卵障害発覚のショックやつらい治療も乗り越えて授かったときはお二人の喜びもひとしおだったことと思います。

 

衛藤さん:私は幸い2回の体外受精で授かりましたが、もっと多くの回数トライされている方もたくさんいらっしゃいます。不妊治療のつらさは自分も体験しているのでわかるのですが、「2回でできたんだからいいよね」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

 

同じ状況のつらい気持ちがわかるだけに、発信者としては公表を悩むところがありました。ですが、見方を変えれば、2年、3年と妊活していてもできない人がクリニックに行くことで「治療という道があるかもしれませんよ」ともいえます。そのことを私の経験を通して知ってもらえたら、という思いでいます。

 

私の場合、ふたり目も不妊治療をしました。こちらも2回目の体外受精で授かりましたが、それまでに2回切迫流産もして、本当につらい思いも経験しました。何度泣いたかわからない過酷な妊娠生活でした。でも、息子や娘に会えた今は、本当に2人に会えてよかったという今に感謝する思いでいっぱいです。

 

PROFILE 衛藤美彩さん

えとう・みさ。1993年生まれ。大分県出身。乃木坂46の一期生として活躍。2019年には卒業でのグループ初となるソロコンサートを開催し注目を集めた。同年に埼玉西武ライオンズの源田壮亮選手と結婚。2022年に第1子、2023年に第2子を出産。現在子育てに奮闘する2児のママとしてSNSやYoutubeチャンネルで日々の様子を発信中。

 

取材・文/加藤文惠 画像提供/衛藤美彩