大活躍の最初のきっかけをつくった上司とのやりとり

── 18歳で上京後は、十数年の下積み時代を経て、2019年のテレビ番組出演をきっかけに、ものまねタレントとして大きな注目を集めました。デビューのきっかけを教えていただけますか?

 

りんごちゃん:20歳くらいから芸能界の仕事を始めて、20代は年に1、2回程度のお仕事をいただいていました。みなさんにりんごちゃんを知ってもらえたのは、『ウチのガヤがすみません!』というテレビ番組だと思いますが、私のなかでは、その数年前が本格的なデビューだと思っているんです。

 

上京したてのりんごちゃん
上京直後はカルチャーショックを受けながらも、いろいろ吸収しながら頑張っていたりんごちゃん

── それはどういうことでしょう?

 

りんごちゃん:30歳という人生の節目で、親友と「今日もダメだったね」って慰め合っている毎日を変えたいと強く思いました。それで、自分を変えたんです。そのことがデビューのきっかけになったと思っています。

 

── どんなことがあったのか、教えていただけますか?

 

りんごちゃん:30歳の誕生日に、たまたま上司とミーティングをしていたんです。そのときに人生観や生活に対する考え方の話になり、ふいに上司に「今変わらないと、この先変われるときはないよ」って言われて。

 

その瞬間、雷に打たれたような感覚になりました。「えーっ、そうかもー!」ってすごく納得したというか。芸能界で輝くために上京したのに、「何もチャンスがない」と嘆いていたらあっという間に30歳になってしまった。それなのに、自分自身は高校時代から15年くらい変わっていないことに上司のひと言で気づきました。

 

しかも、その日が6月26日、私の30歳の誕生日だったっていうのも奇跡としか思えなくて。それからすぐに、自分の怠惰な生活習慣を見直していきました。そうしたら、不思議なことにまわりの人との関係性がどんどんよくなっていって。数年後、『ウチのガヤがすみません!』の出演依頼があり、ありがたいことにみなさんに知っていただけるようになりました。

 

── その上司の方とは、今もやりとりがあるのですか?

 

りんごちゃん:今もお世話になっています。上司からの言葉は、人によっては「厳しいな」って思われるような内容だけど、相手のことをちゃんと考えていないと出てこない言葉だと思うんです。

 

相手と関わるのがめんどうだと思ったら、適当に取り繕った優しい言葉をかけるはずですよね。なのに、その上司はズバッと言ってくれる。思いを感じたからこそ、私は素直に納得することができました。

 

今も私がヘコみそうになったとき、喝を入れるような言葉をくれるんですが、それがすごく自然に、スッと入ってくるというか。いつも見守ってくれているなって思える存在です。

 

PROFILE りんごちゃん

青森県生まれ。2019年にテレビ番組『ウチのガヤがすみません!』の出演をきっかけにブレイク。“ギャップ芸”という新しいものまねで、子どもからお年寄りまで幅広い層から愛されている。青森県十和田・奥入瀬観光大使としても活動中。

 

取材・文/高梨真紀 写真提供/りんごちゃん