私じゃなきゃダメだと思った理由

── 側から見ると、杉さんは大人の男性で、ある意味完成されているように見えますが、どのへんが、私がいないとダメだと思いましたか?

 

伍代さん:もちろん大人のしっかりした男性ですし、頼りにしています。でも、私ならこの人をもっと違ったかたちで見せることができるかもしれない。この人の本質をさらに引き出せるかもしれないって思っちゃったの。余計なお世話かもしれないし、私がマネージャーになるわけじゃないですよ。でも、そう感じちゃったんです。

 

私なら彼が何に悩んでいるのかわかるし、他の人がなぜ人が彼を理解しないのかもわかる。彼は大多数から理解されなくて、ただ変わってるっていうことだけで片づけられるけれど、私というフィルターを通したらもっと多くの人と彼のよさを共有できると思う。私はその役割を担うために生まれてきたと思っています。

 

── 仮に大対数の方から理解されないとして、なぜ伍代さんは理解できたのでしょうか?

 

伍代さん:それはきっとそういう運命だったんじゃないですか。同じ感性を持つ人間だったんだと思います。今は結婚して25年になります。たまにはけんかもしますけど、お互い「同志」みたいな感じで仲良くやっています。もちろん、私が彼に支えてもらっている部分もたくさんあると思います。

 

今は、犬も2匹家族の一員として増えましたし、ますます充実した日々が過ごせていると思っています。

 

PROFILE 伍代夏子さん

1961年生まれ。1982年デビュー後1987年伍代夏子と改名し『戻り川』でデビュー。翌年同曲で第21回日本有線大賞、第21回全日本最優秀新人賞を同時に果たす。NHK紅白歌合戦の出場ほか、活躍中。1999年に杉良太郎と結婚し福祉活動も積極的に行なっている。5月に『いのちの砂時計』発売。

 

取材・文/松永怜 写真提供/伍代夏子