サッカー女子日本代表“なでしこジャパン“で2011年のワールドカップ(W杯)を制したメンバーのひとり、日本テレ・東京ヴェルディベレーザの岩清水梓選手。プロの国内リーグ・WEリーグが開幕した2021年9月以前の2020年3月に長男を出産しました。4年前の出産を経て、現在もピッチの上で輝き続ける岩清水さんに、サッカーと子育ての両立や、女性アスリートの産後のキャリアについて聞きました。
実家の母に「選手を辞める」と報告に行くも
── 2020年3月に長男が誕生されて4年が経ちました。
岩清水選手:生活には多少、慣れてきたところはあります。息子は幼稚園に通っていて、遊び疲れて帰ってきたらぐっすり眠ってくれるので、そういった意味ではストレスがないですし、自分の睡眠も取れていますね。ただ、偏食期は決まったものしか食べないという悩みがあって、成長とともに新生児の頃とは違う大変さがありました。それも年齢を重ねるからこその新しい悩みで。私自身の新たな発見でもあります。
── 自我が芽生えてきて大変なことも多いのでは?
岩清水選手:「喉が渇いた」とか「暑い」「寒い」とか口に出してくれたことに応えればいいので。話せることができるようになったぶん、ラクになったかなと思います。ただ、自我が芽生えると、自分でやりたいと意思表示することも多くて。例えばペットボトルに水を入れるときとか、その先が見えてしまう(こぼしてしまう)ので本当はやらせたくなかったりもするんですが、そこはうまくサポートして見守るところと止めるところのバランスを取っていますね。
── 近年は出産後に復帰される女性アスリートも多くなっています。ご自身は結婚前に出産や育児に関してはどのように考えていらっしゃいましたか?
岩清水選手:以前は出産後に復帰するとは想像していなかったです。実際、妊娠した時もサッカーはもう辞めるものだと考えていたんですよ。サッカー選手としていろいろやり尽くしたという思いもありましたし、現役から退いていいタイミングなのかもと。それが、母のひと言で変わったんです。
── お母様からはどんな言葉をかけられたのですか?
岩清水選手:妊娠が分かって実家にサッカー選手を辞めると報告に行ったときに、「もったいないじゃない。続けたらいいんじゃない?」と言われて。実は20代前半で私が代表に入ったときに宮本ともみさん(現・日本女子代表コーチ)が選手生活と育児を両立されていたんです。練習中はベビーシッターさんに預けて、練習が終わると片脇に子どもを抱えながら食事をしたり。当時はその姿を見て純粋に憧れていましたし、カッコいいなと思っていたんですが、私の母も「宮本さんもやっていたんだから、あなたもやればいいじゃない」って。そう言われて「たしかにな~」と妙に納得したんですよね。引退報告に行ったつもりが帰るときには180度自分の意見が変わっていました。
── チームのスタッフに報告されたときの反応は。
岩清水選手:今だから話せるんですが、妊娠が分かったときはちょうどカップ戦の決勝戦のタイミングで。妊娠していたんですが2、3試合出場したんです。スタッフひとりにだけ妊娠していることを伝えて、そこで区切りをつけて産休に入りますからって。