被災地に「お笑いをしに行ってもいいのだろうか?」
── テレビ番組『情熱大陸』では、小島さんを密着した回が今年1月に放送され、優れた番組などに送られるギャラクシー賞も受賞しました。番組の中では、小島さんに密着取材中に能登半島地震が発生。1週間後に控えた石川県・小松市での仕事へ、予定通り行くべきか葛藤される様子に対し、反響が大きかったかと思います。
小島さん:地震が起きて大変なことになっているところに「お笑いをしに行ってもいいのだろうか?」と悩みました。もともと決まっている仕事でしたし、小松の方々が、そのまま中止にせずに来てほしいと言ってくださるならもちろん行きますし、状況的に難しければ尊重してキャンセルしようと思いました。でも、行くなら悲壮感を漂わせずいつも通りでいかねば、とは思っていました。僕にできることは自分の元気を届けて、みなさんに元気になってもらうことなので。
予定通り小松に伺うことになりましたが、僕のライブを観てくれた子どもたちにはステージの時間だけでもいろいろなことを忘れて楽しんでもらえればという思いでした。
── お子さんたちもきっと、小島さんの元気をもらって、ほんのひとときでも心の安らぐ時間を過ごせたのではと思います。小島さんは3.11をきっかけにお笑い芸人の狩野英孝さんと復興支援仙台特別ライブ(※売上金が寄付される)もなさっていますよね。
小島さん:狩野くんとはほぼ同期で、ブレイクしたタイミングも同じ。「来年消えそうなランキング」の1位が僕で、2位が狩野くんというときもあって、妙な縁があります。まあ、僕は3年連続1位だったんですけど(笑)。
そんな狩野くんとは「消えたくないから生き残るために2人でトーク力をつけよう」ということで2008年くらいからずっとトークライブを続けています。震災以降、狩野くんが宮城出身なのと、僕が宮城のテレビ番組をやらせてもらっていた縁もあり、「僕たちにできることで何かやろう」となって、復興支援仙台特別ライブを始めました。毎年3.11付近にお笑いライブを仙台で開催しています。県外から来るお客さんも多くいらっしゃるので、ライブを観た後に仙台で観光したり、買い物したり、みなさんが仙台を楽しんでくださるよう盛り上げていきたいと地元の方と話しています。
基本的に僕のイベントは、みなさんに元気になってもらいたいという思いと、そのためにも自分の元気な姿を見せるということを大事にしているんです。ライブがきっかけで仙台が元気になってもらえれば嬉しいです。
PROFILE 小島よしおさん
1980年生まれ。沖縄県出身。出生後は千葉県で育つ。早稲田大学教育学部国語国文学科在学中より芸人としての活動をスタート。「そんなの関係ねぇ!」「はい、おっぱっぴー」などのギャグで2007年に大ブレーク。『ユーキャン新語・流行語大賞2007』にノミネートされるなど話題を集めた。現在は子ども向けのライブを精力的にこなし、YouTubeチャンネル「小島よしおのおっぱっぴー小学校」「ピーヤの休日【ピーヤTV】」なども人気。著書には、子どもの悩みに寄り添ったアドバイスが好評で書籍化された『小島よしおのボクといっしょに考えよう』(朝日新聞出版)、『最強無敵の雑草たち(10歳から学ぶ 植物の生きる知恵)』(家の光協会)など。
取材・文/加藤文惠 画像提供/小島よしお