ミス・ジャパンのグランプリを獲得した佐賀県職員の吉田愛さん。小さい頃から憧れていたアイドルの夢と公務員を目指したきっかけとなる父親の存在についてお話を伺いました。(全2回中の2回)

AKB48に憧れて

── 就職先として佐賀県庁を目指していたのはなぜですか。

 

吉田さん:父は今も県庁の職員として働いているのですが、その姿を見てきたことが大きいです。父が昔から「県民のため、困っている人のために働くということはやりがいがあるよ」という話をしていたのを聞いて影響された面は大きいと思います。すでに中学、高校の時には将来、公務員になろうと決めていました。

 

吉田愛さん
「リアルに天使!」赤ちゃん時代も現在の面影がある吉田さん

その一方で、アイドルになる夢もあったので大学ではK-POPダンスを習っていました。小学生の時にAKB48さんに憧れていたのですが、指原莉乃さんが地元の大分を盛り上げていたように、私も佐賀でそういう存在になれたらいいなと思っていたんです。公務員という現実的な夢とアイドルという2つの夢がありました。

 

── 人前で活動をするという意味では2つの夢を叶えたことになりますね。

 

吉田さん:振り返ってみると小さい頃から地元愛が強い方だったと思います。小学校で佐賀県に関する調査があったときも、「佐賀が大好き」と答えていました。将来働くなら、佐賀に関することがいいなという思いがあったので、県職員としてもミス・ジャパンとしても佐賀のことを発信できる立場にいると感じています。

 

──九州のモデル事務所に所属されていたこともあったそうですね。

 

吉田さん:小さい頃から歌ったり踊ったりするのが大好きで、振りつけを考えて学校で友達と一緒に踊ったりするうちに、エンターテインメント業界に興味を持ちました。CMのオーディションを受けるなど、夢に向かって積極的にがんばってみた時期もありましたが、通うことができず断念し、結局事務所に所属していたのは短期間でした。その後、未練はなく、高校も大学も公務員での就職を視野に学校選びをして勉強を続けて、県職員になりました。

県職員として普段は「窓口で医療費助成の受付を」

── 県職員としてどんな仕事を担当されているのですか。

 

吉田さん:お子さんの病気や不妊治療に関する仕事をしています。医療費が高くならないよう補助金申請の受付をしているのですが、申請が通って、認定が降りると受けられるサービスが増えるので、窓口でそのご案内をしています。

 

入庁して最初の配属先は県立図書館で、おすすめの本を県民の皆さんにお知らせする図書館だよりなどを作っていました。学生の読書感想文の課題図書などの仕事もしていたので、私自身も本を読む習慣ができたのはよかったと思います。

 

吉田愛さん
堂々としたポージングを披露する吉田さん

── 仕事をするうえで意識していることはありますか。

 

吉田さん:不妊治療の医療費助成の手続きに来られる方は、妊娠が成立しなかったという方が多いので、どこか沈んだ気持ちでいらっしゃることが多いです。最初は、どういう気持ちで向き合ったらいいのだろうと悩んだのですが、自分なりに考えた結果、窓口に来てくださっている間は少しでも気持ちがやわらいでいただけたらいいなと思いまして。接する際は、なるべく暗い雰囲気にならないよう心がけています。佐賀県では今年度、今まで対象ではなかった不妊治療の先進医療も対象になったので利用していただける内容が増えました。

 

── 県職員の仕事とミス・ジャパンの活動の両立はどうされているのですか。

 

吉田さん:佐賀大会での活動は土日メインだったので、お休みをいただくことはありませんでした。日本大会でグランプリになってから有給休暇などを使うこともありますが、仕事内容が各個人に振り分けられているので、仕事の進み具合は自分で調整できます。他の方の状況を見ながらお休みを取るということがないので、ミス・ジャパンの活動との両立はしやすいと思います。

 

吉田愛さん
佐賀県庁内にもグランプリ受賞を祝うスクリーンが表示された

「ランチは父親と手作り弁当持参で」

── 人前に立つ機会も増えたと思いますが、体型維持のために意識していることはありますか。

 

吉田さん:佐賀大会に参加した頃から、間食を減らすようにしてきました。あとは、姿勢をよくすることを意識していたら、体重も少し減って顔も小さくなったように思います。

 

── 食べ物にも気を使っているとのことですね。

 

吉田さん:なるべく体にいいものを意識しています。本庁には食堂があるのですが、私の勤務先にはないのでランチはお弁当です。家族と同居しているので、父と同じお弁当を持って行っています。私が父の分と2人分を作ることもありますし、母が作ってくれることもあります。

 

── 親子で同じお弁当をいただくって素敵ですね。

 

吉田さん:父とは勤務場所が違いますし、職員は3000人くらいいるので職場で会うことはほとんどありません。お弁当の時間は、「これを食べて午後も頑張ろう!」という気持ちでいただいていますが、きっと父もそう思っているんだろうな、と思いながら食べています(笑)。

アピール下手な県民性も「佐賀の魅力を知ってもらいたい」

── 個人的には好きなところがたくさんあるのですが、佐賀県は魅力度ランキングで順位が低いことなどで取り上げられることもありますね。

 

吉田さん:そもそも魅力がない都道府県はないと思っていますが、その中でも佐賀は、佐賀平野のおかげなのか比較的のんびりとして変化を求めない傾向にあります。しかし佐賀の人は地域の繋がりも深くてあたたかさを持った方も多く、県産品も豊富です。

 

有明海でとれる海苔やミカン、レンコン、佐賀牛、最近ではトウモロコシ、2024年1月には日本橋三越で佐賀県の山口知事と佐賀のいちご、いちごさんのPRにも行きました。美味しいものもたくさんあるのですが、魅力があり過ぎて何かひとつを推すのが難しいのが原因かもしれません。

 

吉田愛さん
地元の海をバックに

佐賀の魅力を伝えて、少しでも雰囲気を変えていきたいです。観光もそうですし、学校や企業の誘致などもできるように活動していけたらと思っています。進学や就職を機に佐賀を離れる方も多いので、地元に残る選択肢をする方が増えたらいいなと思っています。

 

── 2023ミス・ジャパン日本大会で見事グランプリを獲得されましたが、今後どんな活動をしていきたいですか。

 

吉田さん:ミス・ジャパンのジャパン(日本)として、日本においての社会問題の解決に向けて自分なりにできることを考え、実行していきたいです。ありがたくも、これまで平和で健康的に過ごさせていただいているので、これからは困っている方の助けになるような活動をしていけたらと思っています。

 

そして2024ミス・ジャパン佐賀大会も始まっているので、今年私は佐賀大会のアンバサダーとして就任しています。公務員なので平日は難しいのですが、週末はミス・ジャパンの活動をしている私に会いに是非佐賀に来ていただけたら嬉しいです。

 

PROFILE 吉田愛さん

1998年生まれ、佐賀県出身。北九州市立大学 法学部学科卒業を卒業し2021年4月佐賀県庁入庁。2023ミス・ジャパン佐賀大会グランプリ、日本大会グランプリを受賞。公務員初の受賞者として注目を集める。

 

取材・文/内橋明日香 写真提供/一般社団法人MJ、(株)ミライエンターテインメント、吉田愛