まさか息子がメジャーに行くなんて

有さんと翔さん 小さい頃

── その後、高校時代は甲子園にも出場したのちプロ野球選手となり、日本、海外と活躍されています。今の息子さんの活躍を見てどう思いますか?

 

郁代さん:ん〜、まさかまさかなのでね。プロに入るときも、「俺、もう4、5年でプロ辞めるから」って言ってたんですよ。今まで練習嫌いで有名だったし。でもプロに入って2年目くらいからやっと目覚めたみたいで真面目に練習しだしたんです。そこから日本で7、8年だったかな。日本で頑張ってやっていって、その後メジャーに行くなんて夢にも思わなかったですね。わからんもんやなって思って見てました。

 

── 今や世界が知る名選手ですが、子どもの頃からシャイで人見知りだったとおっしゃっていた性格は、お母さまからみて変化されていると思いますか?

 

郁代さん:根本的に一緒やと思います。今もやっぱり苦手ですね、人に心を開くのは。だからあんまり知らない人と会ったり、一緒に過ごしたりとかは極力しないようにしているようです。やっぱり疲れるみたいですね。

 

次男の翔さんと郁代さん

── 2023年のWBCではチームメイトを引っ張っていく姿も見られました。息子さんの成長を感じることはありましたか?

 

郁代さん:成長を感じる部分があるのと同時に、変わっていないなとも感じるので。まぁ誰でも年齢を重ねると多かれ少なかれ成長はしないとおかしいでしょうし。でも結婚してね、子どもがたくさんできて、父になることによって野球選手になっただけではできなかった成長を、子どもや家族にさせてもらってるなとは思いますね。

 

── 妻の聖子さんやお孫さんに会うことはありますか?

 

郁代さん:子どもが生まれるときに出産のお手伝いみたいな感じで。ま、役に立たないですけど(笑)、2、3週間現地で一緒に過ごしました。何かのタイミングで予定を合わせることが多いですね。コロナ禍に入ってから全然行けてなかったんですけど、(妻の)聖子ちゃんのお手伝いをしたり、聖子ちゃんが日本に戻ってきて有が1人になっているときは、他の仕事を合わせて私がアメリカに行ったり。そんな感じで何かできることがあればやっています。

 

PROFILE ダルビッシュ・セファット・郁代さん

長男・有、次男・翔、三男・賢太の三兄弟の母親。夫はイラン出身の実業家、ダルビッシュ・セファット・ファルサ。NPO法人ウインウインを設立。現在は代表理事として、子どもから大人まで多くの世代が交流できる場、心の休まる居場所の提供を目指す活動などに取り組んでいる。

 

取材・文/松永怜 写真提供/ダルビッシュ郁代