デビュー20年を経て思うこと

── 芸能界デビュー後、20年が経ちますが、目標にしている方はいらっしゃいますか。

 

相武さん:市原悦子さんです。声のお仕事も演技のお仕事もそうですが、雰囲気も含めて魅力がある方だと感じています。生前に一度、ドラマでご一緒させていただく機会があったのですが、同じシーンはなかったものの、ご挨拶させていただいて。その時に、オーラで圧倒されました。

 

柔らかい身のこなしの方なのですが、近づけないくらいのオーラがあって。お会いできて本当によかったです。私とはだいぶ違うタイプだとは思うのですが、市原さんは今までも、これからもずっと憧れで目標にしている存在です。

 

相武紗季さん
ふたりのお子さんと笑顔溢れる親子ショット

── 俳優業は相武さんにとってどんな仕事ですか。

 

相武さん:ライフワークとして続けていきたいお仕事です。向いているか、向いていないかで言ったら、ちょっと向いていないタイプかなと思うんですが、やっぱり好きなんです。なかでも連続ドラマが好きなのですが、演じるだけでなく観ているのも面白いです。ドラマを観る時は「この役面白いな、このお話すごい!」とか、「きっと現場の雰囲気がよかったんだろうな」などと想像しながら観ています。

 

次の週を楽しみにさせてくれる連続ドラマの存在は、毎日の生き甲斐にもなりますし、観る人の気持ちを明るくしてくれますよね。子育て中の今は、昔と比べると働き方は変わってきていますが、ずっと続けていきたいと思っています。

 

── 子育てしながら役作りをするのは大変そうですが、いかがですか。

 

相武さん:独身の頃はもっと簡単に切り替えられたと思うんですけど、子どもを育てながらの今はちょっとしんどくなってしまうので、今の自分にはちょっとリスクが大きいなとか、抱えきれないだろうなというものではなく、切り替えやすいものを選ばせてもらっています。でも、これはずっとではなく、子どもたちが大きくなったり、環境が変わってきたりしたら挑戦できることだと思うので、特に焦ってはいないんです。

 

── 年齢を重ねていくごとに表現方法も広がりそうですよね。

 

相武さん:小さい頃から変わらない性格なのですが、表現することは好きでも、そんなに目立ってしたいタイプではないので今の立場はすごく気持ちがいいんです。若い子たちをバックアップしたり、サポートしたりするような役柄も多いのですが、そういう作品での立ち位置も、今の自分には向いているなと思っています。

 

どんな形でもいいので、作品に携わり続けて、演技のお仕事が続けられたらいいなと思います。自分の性格やキャパシティもよくわかってきているので、負荷をかけすぎていっぱいいっぱいにはなるのではなく、子どもたちが小さい今は、家族みんなが幸せに過ごせるようにお仕事をさせてもらっています。

 

PROFILE 相武紗季さん

スカウトをきっかけに芸能界入りし、2003年フジテレビ「WATER BOYS」で俳優デビュー。その後、ドラマや映画、CMなどで活躍。主な出演作に「ブザー・ビート〜崖っぷちのヒーロー〜」、「リッチマン、プアウーマン」、「リバーサルオーケストラ」、「ラストマン -全盲の捜査官-」など。

 

取材・文/内橋明日香 写真提供/相武紗季