2児の母でもある優木まおみさん。「宿題やったの?」と聞いたことがないそうですが、子育てにおいて両親の言葉も参考にしているそうです。(全5回中の5回)
「おやつを食べていい?」と聞かれたら
── 現在、7歳と10歳のお子さんを育てていらっしゃいます。子育てをするうえで、心がけていることはありますか?
優木さん:子どもと向き合うときには、「正しいのは親で、子どもは教わる側」という固定概念を持たないように心がけています。親だからといって、つねに正しいわけではないし、実際、私自身至らないところだらけ。ダメな自分を認め、子どもの素晴らしさに目を向けることで、「一緒に学び合って、育て合いをしていくぞ」という気持ちで接するようにしていますね。
子どもには、自分で考え、決断できる子になってもらいたいなという思いがあります。ですから、普段からできる範囲で、自分のことは自分でやってもらうことを徹底しているんです。
── たとえば、どんなことでしょう?
優木さん:日常のささいな場面から、習い事を続けるかどうかなど、さまざまです。たとえば我が家では、テレビやYouTubeの視聴に関して、「平日はテレビ」「土日はYouTube」というのが、あらかじめ子どもと一緒に決めたルール。でも、平日に子どもが「YouTubeを見ていい?」と聞いてくる場合、「ママは別にどちらでも構わないよ。ただ、一緒に決めたルールでは、YouTubeは土日という約束だったね。それでも見たいと思うなら見たらいいし、ルールに従うことを大事にするんだったらどうすればいいか考えればいいし、どっちを決めるかは自分次第だよ」と伝えます。
夕食の前に「おやつを食べていい?」と聞かれたときには、「もうすぐご飯だけれど、もしもいま、おやつを食べたとして、その後でご飯も食べられそう?胃袋と相談してから、自分で決めようね」と。
もちろん人を傷つけたり、その決断で危険が生じる場合は別ですが、子どもがちゃんと考えて決めた答えなら、基本的には否定しないと決めています。
──「自分で決めさせる」ことを大切にされている背景には、どういう思いがあるのでしょう?
優木さん:私自身が両親にしてもらった教育のなかで、一番感謝しているのが、「自分で決める習慣」をつけてもらったことなんです。
うちの両親は、私がすることに対し、「そっちじゃなくてこうしなさい」と押しつけたり、誘導するようなことはいっさい言いませんでした。ただ、私がどうしたいかをつねに尋ね、その決断を尊重して、いつもちょっとだけ後ろから見守って、応援団としてサポートしてくれました。それがどれだけ心強かったことか。
人生を制限されないという経験が、「自分の人生を自分で決めてきた」という誇りに繋がっています。いまも「自分らしく生きている」と、なんら後ろめたさもなく、胸を張って言う事ができるのは、両親のおかげです。
── 素敵な御両親ですね。
優木さん:私もそんな風に子どもに関わっていければいいなという思いがあります。自分で決めたことなら、たとえ失敗しても自己責任だと納得できて、後悔も少なくて済みます。でも、人に決められたことを腑に落ちないままやると、うまくいかなかったときに、人のせいにしてしまうと思うんです。すると、他責のクセがついていく。
だから、日常のささいなことで、考える力と決断力を養う練習をしておこうと思って、やっています。
── 口を挟まず、黙って見守るというのは、なかなか難しいものですよね。
優木さん:そうなんですよね。親の覚悟が問われます。つい、「こうしたら最短ルートを取れて楽なのになあ」と、教えそうになってしまう自分がいて、心の中でせめぎ合っています(笑)。