芸能人のプライドを捨てて
── そうだったのですね。なにか優木さんの背中を押したのでしょうか?
優木さん:コロナ禍でエンタメ活動がどんどん自粛になって、緊急事態宣言のときには、仕事がゼロになってしまったんです。今後どうなるかまったく分からないのに、「みっともないかもしれない」なんて言っていられません。自分の生活は、自分の手でつかんでいかないといけないと痛感しました。
それに、これまでずっと他人の評価を気にせず、「自分のなかの満足感」を基準に、胸を張って生きてきたのに、ここへきて、人目を気にしている自分ってカッコ悪いなと。「大好きなピラティスの魅力を伝えたい」という気持ちがどんどん高まっていたので、その情熱に従ってやりたいようにやってみようと決意したんです。幸い事務所も賛成してくれました。
そこから、ピラティスのレッスンを本格的に始め、パーソナルセッションやグループレッスン、オンラインもスタートしました。
──「芸能人」というプライドを取り払って一歩踏み出してみたら、新たな世界が拓けたのですね。懸念されていた芸能のお仕事への影響はいかがでしたか?
優木さん:「それはそれ、これはこれ」という感じで、別になにも影響はありませんでしたね。固定概念を外したら、気持ちがラクになって、すごく楽しくなったし、いろんな歯車がうまく回り出しました。要は、頭でっかちになって考えすぎていたんですね。
── ピラティスの仕事をしていて、どんな時にやりがいを感じますか?
優木さん:一番嬉しいのは、ダイレクトに反応が返ってくるところですね。生徒さんの体が目の前で変わっていき、笑顔になる瞬間にやりがいを感じます。感謝の言葉を直接もらえるので、つねに満足感を得られるのも嬉しい点です。
ピラティス講師として、ようやく「タレントだから依頼します」という域をちょっとずつ超えてきて、手応えを感じ始めています。ピラティスのスキルにもだいぶ自信がついてきました。
現在は、身体美容家認定協会を立ち上げ、ピラティスをベースにした「マオビクス」というメソッドを考案し、活動しています。ピラティスサロンの監修で店舗展開のサポートをするなど、ピラティスをベースにいろんなお仕事が広がっていくことにワクワクしています。
PROFILE 優木まおみさん
1980年生まれ。佐賀県生まれ。タレント、ピラティスインストラクター。モデルやバラエティ、コメンテーターほか幅広く活躍中。2013年に結婚して現在は2児の母。
取材・文/西尾英子 写真提供/優木まおみ