2児の母になって心身の不調を感じたこともあったと語る優木まおみさん。芸能の仕事からピラティスと活動の場を広げ、「タレントだから依頼します」の域を超えてきたとか(全5回中の4回)。
なにもできない自分の無力感
── 現在、タレント活動をしながら、ピラティス講師としての顔もお持ちです。そもそもピラティスを始めた理由はなんだったのでしょう?
優木さん:36歳で2人目を出産したときに、心と体が不調に陥り、なかなか戻らなかったんです。そんなころ、「体幹を鍛えるにはピラティスがいいらしい」という話を耳にして、近所の教室で習い始めたのがきっかけでした。
当時の私は、2人の子育てに追われて心に余裕を失い、「なにもできない自分」への無力感からひどく落ち込んでいた時期でした。でも、どんなに気持ちが後ろ向きになっているときも、ピラティスをやった後は、ちょっとだけ心が前向きになる。「いったいこれはなんだろう…」と、その魅力にどんどんハマっていったんです。
── 講師として活動することは、当初から視野に入れていたのですか?
優木さん:仕事につなげようという気持ちはまったくなかったですね。単に不調だった自分の心身が整っていく心地よさや、硬いと思っていた体が目に見えて柔らかくなって動いていく変化が楽しく、「もっと知りたい!学びたい!」と興味がどんどん溢れだすような感覚でした。
そうした気持ちに突き動かされるまま、学びを深めていったら、インストラクターの資格を取っていました。
── 自分自身の変化によってピラティスの魅力を体感されたのですね。その後、どういういきさつで、講師として活動することになったのでしょうか?
優木さん:2019年にインストラクターの資格を取得し、オンラインボディサロンを開設しました。その後、コロナ禍がはじまり、家で過ごす時間が増える中、ステイホームで運動不足の人が増えているというニュースを見て、オンラインでピラティスのレッスンをやってみようと考えたんです。インスタグラムで告知をし、チケットの販売、参加希望者とのやりとりなど、すべて自分で行いました。
それまでスタジオでの定期レッスンを行っていたものの、オンラインで大人数を教えるのは初めて。不安もありましたが、実際にやってみたら意外と楽しくて。ただ、当初は、「もしかしたら芸能人としての仕事を失うかもしれない」という不安がありました。
──「芸能人としての仕事を失うかもしれない」というのは…?
優木さん:芸能人が、自分で集客をして、チケットを売り、お客さんと直接やりとりをするといったケースは聞いたことがなかったので、「芸能の仕事をずっとやってきたのに、こんな形で募集していいのだろうか」という気持ちがありました。私自身どこかで「みっともないかもしれない」とか「なりふり構わず必死だなと思われたら恥ずかしい」と感じていたのも確かです。
SNSで1対1のパーソナルセッションを直接募集することへの抵抗もありましたね。いままでファンの方と1対1で会うといえば、ファンイベントのような特別な機会だけだったところを、「チケットいくらで売ります」というのは、芸能人としてどうなんだろう、と。
チケット代も、新人ピラティス講師なのだから適正価格で設定すべきだと思いながらも、あまりに下げすぎると、今度は芸能人としての仕事に影響が出ないだろうかと考えたり。悶々としているうちに怖くなって、募集をためらっていた時期もありました。