自問自答する日々から次のステージへ

八ヶ岳で花見をしたとき

── どうやって気持ちの折り合いをつけていったのでしょうか。

 

優木さん:考え方が切り替わったのは、コロナ禍がきっかけです。エンタメ活動が自粛で休止状態になり、家にいる時間が増えたことで、「この先の人生をどう生きたいのだろう」「自分にとって本当に大切なものはなんだろう」と自問自答しながら、じっくり考える時間ができたんですね。

 

それまで20年間、テレビや雑誌に出るという芸能活動だけにとらわれてきたけれど、もう少し視野を広げて、ひとりの女性としていろいろな活動をしていきたいなと思ったんです。この先、人生はまだまだ続いていくけれど、親子でこんなに一緒に過ごせるのは、子どもが小さな間だけ。そう考えると、いまを大事にして、家族と過ごす時間をしっかり確保しながら、自分も輝きたい。そのためには、どんな方法があるだろうと試行錯誤していきました。

 

── コロナ禍は、多くの人にとっても、生き方を問い直す機会になりましたよね。

 

優木さん:そうですよね。それまで私は、どこかで「子どもを産む前の自分に戻りたい」という願望があったと思うんです。でも、現実を見つめ直し、じっくりと今後の人生のプランを練り直したことで、「もはや過去の自分が戻ることはないんだ。なんでこうなっちゃったんだろうと悔やむ時間こそムダだな」と気づいたんです。

 

なぜこうなった?の「WHY」をいっさい捨てて、どうしたらよくなるかという「HOW」の部分だけを見ていこうという考えに切り替わりました。

 

── 新しいステージに踏み出すための心の準備ができたという感じだったのでしょうか。

 

優木さん:正直、「そうするしかなかった」というのもあります。でも、子どもがちょっとずつ成長して、私自身も少しずつ身動きがとれるようになって、新しいステージに踏み出すことをポジティブに考えられるようになってきたのだと思います。
きっと子どもを持つお母さん達がぶつかる壁なのかもしれませんね。

 

PROFILE  優木まおみさん

1980年生まれ。佐賀県生まれ。タレント、ピラティスインストラクター。モデルやバラエティ、コメンテーターほか幅広く活躍中。2013年に結婚して現在は2児の母。

 

取材・文/西尾英子 写真提供/優木まおみ