順調に活躍の場を広げていった仕優木まおみさん。しかし、徐々に目標を失ってしまい、2児の母になってからさらに無力感を味わったと言います(全5回中の3回)。

仕事が充実した日々から強い喪失感を味わって

── グラビアやバラエティー、モデル業など、アグレッシブに活躍の場を広げていかれました。なにがモチベーションになっていたのでしょうか?

 

優木さん:やりたかったお仕事をひとつずつクリアしていくことに、大きなやりがいを感じていました。出てみたい番組や、やってみたい雑誌の仕事をすべて書き出して、リスト化していました。ひとつずつタスクをクリアしていく瞬間の高揚感が、たまらなく好きでしたね。

 

でも、目標にしていた仕事が決まった瞬間が気持ちの高まるピークなので、撮影が始まったときには、すでに燃え尽き始めている感じすらあって。もちろんお仕事の現場はそれぞれ刺激があっておもしろいのですが、「目標にしていた仕事が決まることが嬉しい」という感覚のほうが上回っていたんです。

 

だから、目標を失った状態というのが、自分にとってはなによりツライ。そんな「燃え尽き感」を一番強く味わったのが、34歳で子どもを産んだときでした。「自分はなんて無力なんだろう…」と、強い喪失感がありました。

 

──「無力感」というのは?

 

優木さん:2013年に結婚したのですが、当時、仕事がものすごく忙しい時期でした。スケジュールはずっとパンパンで、結婚式でハワイに行っている間も、式当日に「ヒルナンデス」のテレビ中継が入り、ウェディング本の作成やプロデュースしているドレスのカタログ撮影、ほかにも、雑誌の取材や表紙の撮影を何本かこなすなど、いま思えば常軌を逸した仕事の詰め方をしていました。大変でしたが、「なんか私、THE芸能人してる!」みたいな高揚感で、すごく充実感があったんです。

 

でも、その翌年に出産し、生活が一変しました。産後の大変さを知らなかったので、仕事を詰め込んでいて早めに復帰したのですが、初めての育児で、体も心もいっぱいっぱい。思うように仕事がこなせず、ストレスがどんどんたまっていきました。

 

── 出産すると環境が激変し、心身が不安定になりますよね。

 

優木さん:夫も多忙で帰宅が遅く、ほぼワンオペ状態だったので、リフレッシュしようにも、子どもを預けないと美容院やネイルサロンにも行けない。夫に当たってケンカになったこともありました。

 

もともと、やりたいことはどんどんやって、行きたい場所にもひとり行っていたタイプ。ですから、自分の行動が制限され、なにひとつ思うようにできない状態は、想像以上にダメージが大きかったですね。「私は誰かの手を借りないと、何もできない人になっちゃったんだ…」と、無力感でいっぱいになってしまいました。

 

仕事もこれまでのようにはできない。思い描いていた自分とどんどんかけ離れていくことが不安でたまりませんでした。この先どんなふうに進んでいけばいいかわからなくなり、自分のなかで目標を見失ってしまったんです。ひとり欝々として、暗い日々が続きました。

髪の毛をサラリと下ろして

── つらい状態だったのですね…。

 

優木さん:それでも、まだ子どもが0歳ぐらいのときは、なんとか気持ちを奮い立たせて、両立していたのですが、36歳のときに下の子が生まれて、子どもが2人になったときに、「もう無理だ…」と限界を感じ、ドカンと落ち込みモードに突入しました。

 

子どもがひとりだと、収録や撮影の間は、マネージャーさんに見てもらうこともできるけれど、2人になるとなかなかそうはいきません。両立するのがだんだん難しくなり、レギュラーを降りて仕事をセーブすることにしました。

 

世のママたちは、みんなこんなつらい思いをして、子育てと仕事を両立しているのだなと、その大変さが身にしみましたね。