子どもができてからの人づき合い

娘さんと自然に触れて

── ところで、出産後仕事復帰はどれくらいのタイミングでされましたか?

 

中越さん:1人目は舞台挨拶で、産後3か月くらいだったかな。2人目が生まれたときは、出産から3か月後に新潟で4日間の泊まり込みの仕事が入ったんです。連続テレビ小説『こころ』でお世話になったディレクターさんが声を掛けてくださったので、是非やりたい!と思いましたが、0歳と1歳の子どもを置いての4日間は少々チャレンジだとは思いました。当日は夫も仕事が入っていたので、0歳児と犬は友達夫婦にお願いして、上の1歳の息子はまた別の友達に見てもらうことに。雪の心配で無事に帰れるか心配しながら、どうにか4日間過ごしました。

 

今も、私が家に居ない時は夫かシッターさん、託児所、たまに友達の家に預けたりと、いろいろな人の手を借りています。

 

── お子さんが生まれて変わったことはありますか?

 

中越さん:元々すごく人に慣れるまで緊張するタイプというか、人づき合いも不器用な方なんですよね。表面上はうまいように見られるんですけど、一歩入りきれないところもあって。それが子どもを産んでから友達作りも緊張しなくなった気がします。子どもがこの子と遊びたいと言ったらガツガツとそばに行って「ちょっとお邪魔していいですか?」と自ら声を掛けますし、仲良くなったら家にも遊びに行くことも。

 

子どもがいる方なら子どもという共通の話題で盛り上がれるし、子どもが居ても居なくてもあまり細かいことを考えずに人と接するようになりましたね。

 

── なぜ気持ちが変わったと思いますか?

 

中越さん:今は子どもと過ごす時間が長いので、やっぱり外で仕事をする時間がとても新鮮なんです。時間の制限があるからこそ、この時間を楽しみたいと思うようになりましたし、家とはまた違う環境に身を置いて清々しい気持ちにもなりますし。

 

あと、今までは自分のことだけに集中していましたが今は違う。今は自分に守るべきものができて、子どもの存在がリラックスにもなっています。日々追われるように過ごしていても、仕事から帰って来て子どもの顔を見た瞬間なんて愛おしいんだろうって思いますね。なんだかんだといつも幸せを感じながら、周りに感謝して過ごしています。

 

PROFILE  中越典子さん

1979年生まれ。佐賀県生まれ。『ストレートニュース』(日本テレビ系ドラマ)で俳優デビュー。TBS『王様のブランチ』に出演後、2003年NHK連続テレビ小説『こころ』で主演を務める。現在放送中のフジテレビ「婚活1000本ノック」に出演中。以降映画やドラマに出演しながら現在は2児の母としても活躍。

 

取材・文/松永怜 写真提供/中越典子さん