芸歴1年目でTHE W決勝に進出し、活躍の幅を広げるお笑いコンビ「はるかぜに告ぐ」のお二人に、コンビ結成の理由や実力者揃いだったというNSCでの日々について伺いました。(全3回中の2回)

同期の中で「先輩後輩があった」

── お二人はNSC時代にコンビを結成したと伺っていますが、とんずさんの方から、といろさんに声をかけたそうですね。

 

とんずさん:私はもともと男女コンビだったんですが、それが解散して相方を探していたんです。携帯でネタ動画をあげる授業があって、といろさんのを見てみたら、自分とほんまに正反対のやつおるなと気になってて。

 

一色といろさん
神社仏閣巡りが趣味だという一色といろさん「清楚な私服姿がかわいすぎ!」

相方を探しがてら、同期が出るライブに行ったら、といろさんが出てきたんです。「あ!気になってた人や」と思って見たら、もうえげつないぐらい面白くなくて、 「何してんねん、こいつ」って。絶対、私がネタ書いた方がこの人おもろいと思って、声かけました。本当は男女コンビがよかったんですけど、タイミング的に女芸人No.1決定戦THE Wも始まるし、と思って誘いました。

 

── 誘いを受けてみていかがでしたか?

 

一色といろさん(以下といろさん):私は所属だけして舞台には出ないでおこうと思っていたんです。相手にも迷惑がかかるから、ピンでやっていこうと。授業には結構、出席している方だったんですけど、ネタをしないと出席にならないから、ネタを作らないといけなくなって。「ネタ作るの、もう嫌やな」と思っていた時に、ちょうど声かけてもらったんで受けました。

 

お笑い自体はバラエティ番組とかで見るのは好きでよく見ていたんですけど、 ネタそのものはフィクションやし、どうやって笑わせるかも含めて作り方が難しいなと。

 

── お二人のタイミングが一致したと。とんずさんは昔から芸人になるのを目指していたそうですね。

 

とんずさん:中学の時には芸人になるのを決めてたんで、入学前にネタも書いてました。おそらくみんな最初は、自分が1番おもろいと思ってNSCに入ると思うんです。でも我々の45期って、コロナの影響で入るのをちょっと待っていた子たちが一気に入った感じがあるので、めっちゃ経験者が多いんです。同期の中で、先輩後輩があったんですよ。

 

同じクラスの同期がすでに番組に出ていて、おもろすぎて「授業出たくない」と思ったこともありました。「この後にネタすんの恥ずかしいな、自分たちは何を見せるんだ?」って。経験者に面食らう人たちばっかりやったと思います。ほんまに努力しないとなって思っていました。

 

── いい意味で言うと切磋琢磨できる環境ですよね。

 

とんずさん:みんなキャラとか、ネタの構成も出来上がっている人たちが多かったんです。経験者も、経験者じゃない人たちも。授業を見ているだけで勉強になるので、全員のネタをメモってました。 だから、今でもだいぶ人のネタは覚えてます。月に1回ライブがあるんですけど、それで1位から最下位まで順位がつくんです。

 

とんずさん
多趣味だというとんずさんのバンド活動中の1枚「完全なるアーティスト感」

── 最下位まで…!

 

とんずさん:それで、といろさんが最下位。

 

といろさん:ネタを直前で変えたんですよ!だから覚えてなかっただけなんです。

 

とんずさん:本当よかったです。ネタを飛ばしたという言う訳があって。ネタをちゃんとやりきって最下位やったら…。覚えてなくてよかった。そういう自分も36組中30位とかでしたけど(笑)。
 

── 実力者揃いの同期の中でどういう方向性でやっていこうと思ったんですか。

 

とんずさん:なんとかすり抜けてやってきたと思います。したいこともあったけど、それじゃ上がられへんと思って。衣装もキャラもみんなとは違う、空いてる枠にすっと入ったという感じだと思います。

 

── NSC時代を振り返ってみていかがですか。

 

といろさん:正直、NSCにはダイエット目的で入ったのと、これまでの人生で人を笑わせたいと思ったことがなかったので学んだことすべてが経験になっています。おかげさまで、ちょっと顔もシャープになってきた気がします。

 

とんずさん:1年間めっちゃ頑張ったと思います。後ろの予定も見て、この時期にはもうネタを作っておくとか、スケジュールを立ててやってました。知り合いの先輩にもアドバイスをもらいにいって。プロになったらNSCでの成績は正直、関係ないんですけど、関係ないって言うんじゃなくて、なんでも一生懸命やるに越したことないじゃないですか。私は意味があったなと思っています。

 

はるかぜに告ぐさん

気になる今年の目標は

── 去年のTHE Wの決勝進出後から多忙な日々を送られていると思いますが、今年の目標についてお願いします。

 

といろさん:NSCに入ったことは親にしか言っていなくて、これまで芸人をしているということは知り合いにも言ってこなかったんです。でもTHE Wの決勝戦と、年末年始の番組などで結構バレてしまって。

 

とんずさん:いや、それはバレるやろ!

 

といろさん:今までLINEで聞かれても「?」みたいなスタンプを返してごまかしていたんですけど。

 

とんずさん:それは絶対ごまかせてない。

 

といろさん:いけてたんですよ。でも今年はもっと堂々と、芸人やってる!と言えるくらい、名実ともに頑張りたいなと思っています。

 

はるかぜに告ぐ
THE W決勝戦にて思い思いにWポーズ

とんずさん:私は、ユニバ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の年パスを買うことです。

 

といろさん:運動不足解消で?

 

とんずさん:いや、運動不足解消では行かんねん。娯楽費のなかでも結構大きいと思うんですよ、ユニバの年パスを買うって。それを買おうと思えるぐらい稼ぐって目標です。今のところ12月の家賃の催促の電話が止まらないんで、先は長そうなんですけど。

 

あとは、THE Wで優勝です。と言ってもめっちゃ落ちこぼれて、1回戦とかで落ちても、もう全部おもろいかなって。去年の決勝では芸歴1年目ですごいと言われ散らかしましたけど、今年は正直どうなっても大丈夫です。すべてをネタにしようと思ってるんで、期待してください!

 

PROFILE はるかぜに告ぐ

2023年デビューの1年目。ほんわかボケ・一色といろとしゃがれたツッコミ・とんずの、見た目も性格も真逆コンビ。同年、女芸人No.1決定戦THE Wで決勝進出。

 

取材・文/内橋明日香 写真提供/はるかぜに告ぐ