モデルや俳優として活躍する佐田真由美さんに、「とにかく派手だった」という母親のユニークなお話から、「学ぶことが多い」と語る夫の母親との関係について伺いました。(全3回中の3回)
「太陽のような」実母
── Instagramに投稿した、小さい頃にお母様と撮影した写真が話題になりました。
佐田さん:とにかく派手な母でした。歩いていても、電車に乗っても絶対に周りの方が母のことを見ているんです。でも、そうやってジロジロ見てくる人に母は、「そんなに見ないでよ」と普通に言っていましたね。
── 強いですね!
佐田さん:母は常に注目されていたと思います。確かに、あの服だと無条件で見てしまうと思うんですけどね。お友達からも「お母さん、派手だね」と言われて。それに、遠くからでも「真由美〜!」と手を振ってくるような感じだったので、「あ〜、出た〜」という感じ。友達の家に遊びにいくと、「普通のお母さんってこんな感じなんだ」と思うこともありました(笑)。
── 娘から見て、どんなお母様ですか。
佐田さん:性格もすごく明るくて自己肯定感も高いのですが、ものすごいネガティブでもあるんです。母が空間にいるだけでパッと明るくなって、太陽のような人なんですけど、マイナス思考なので、私が小さい頃から「大丈夫だよ」と声をかけていました。
祖父がアメリカ人で、母は外国の血が強い顔つきなんです。金髪で、服装も派手で遊んでいるように見られるけど、中身は真面目で古風。人の注目を集めやすいぶん、傷つきやすいのもあったでしょうし、鹿児島で育って、当時は珍しいと周りから見られていたと思います。でも今になって、母の若い頃の写真をみると素敵だなと思いますね。母に怒られたことはほとんどなく、しつけの面で言うと父は厳しい人でした。
尊敬する夫の母
── ご結婚後、旦那さんのお母様との関係はいかがですか。
佐田さん:すごく仲がいいんです。夫と結婚して子どもが生まれて、最大の宝物をいただいたのですが、それに加えて、夫の家族と出会えたことも宝だと思っています。尊敬することも、影響を受けていることも多いです。
夫の母に、「お母さんは子どもの支配者になったらいけない」と言われて、それを常に気をつけています。「私の時はこうだった、こうあるべき、こうしなきゃ」と押しつけてしまうことを極力しないように努めているんですけど、失敗してほしくないし、「このままだとこうなっちゃう」っていうのもわかるので、さじ加減が難しいです。失敗もさせるべきとは思うので、したいことをさせてみるのがいいのかなと思っています。
あとは、「のに」は使わないでね、ということも夫の母から教わりました。「これだけしてあげたのに」、「こんなに頑張ったのに」と、「のに」がつくと後ろ向きの言葉になってしまうんです。これは夫の母もその母から言われていたことだそうです。
── 語り継がれている言葉があるのは素敵ですね。
佐田さん:「真由美さんを息子のお嫁さんって思ったことは一度もなくて。真由美さんは真由美さんなのよね」と言われたのがすごく印象に残っています。それに、お嫁さんというより、また息子を家に戻してくれた救世主という感じだそうです。
── 素敵な関係ですね。旦那さんがお母様の性格を引き継いでいることも多そうですね。
佐田さん:身の丈というものをしっかり刻んでいる姿は、お母さんの影響かなと思います。お金の使い方もそうです。ひとつのものを買うのに1年悩むことも(笑)。それに、周りが困っていたら、助けるというのもそうですね。夫のそういうところはすごく美しいし品があるなと思います。浮き沈みもなく、安定しているのも似ていますね。
育休中の後悔も
── 共働きで、ご家庭の家事分担はどうされていますか。
佐田さん:うちは基本、すべて私です。どうしてもしっかり産休・育休を取って家にいた方に家事負担が多くなってしまうと思うんです。
私は、産後3年間休んだのですが、その間も家事は夫婦で分担をした方がよかったなと今なら思います。家にいた私がすべてしていて今に至っています。若い頃はよかったのですが、今は体力がついていかなくなってしまって。仕事をしているかどうかに関わらず、一緒に暮らしているんだから家事は分担していればよかったです。
夫に家事を頼んだら文句もなくすべてやってくれるんですが、「これをしておいて」と伝えるのも億劫で、だったら自分でしてしまおうと。それに「仕事で疲れてきているだろうから、やってあげよう」と思うと、ずっとそうなってしまっていますね。
私は性格的に、人にしてもらうと「大丈夫かな」、「疲れないかな」とばかり思ってしまって、気持ちよくお願いできないタイプなんです。こんな性格だから、自分の労力を使う方が穏やかに過ごせます(笑)。
── 旦那さんとはふたりで出かけることも多いそうですね。
佐田さん:夫とお茶したり、散歩に行ったり。洋服を見に行くこともあります。「コーヒー飲みに行こうか」という感じでだいたい朝活です。もう、ふたりでお酒を飲みにいくようなことはないですね。でも。ふたりでいても、基本は子どもの話をしていることが多いです。
── これからの目標を教えてください。
佐田さん:モデルは3歳から始めて続けているので、ここまできたら現役モデル最長としてギネス世界記録に認定されたいなと思っています(笑)。ここまで来るとなんとなく夢でもない気がして。なので、これからも長くモデルを続けられるように健康で長生きしなきゃと思っています。本気で目指します!
PROFILE 佐田真由美さん
3歳からモデル活動を始め、10代で雑誌「ViVi」でカリスマ的な人気を博し、ファッションリーダーとして同世代の女性から圧倒的な支持を得る。俳優として映画やドラマに出演し、歌手としても活躍。二児を出産後にモデル復帰し、現在はファッション誌を中心に活動。17周年になるジュエリーブランド「Enasoluna(エナソルーナ)」のディレクターとして、デザインやブランドビジュアルなど、ブランドに関する全てを手がける。類稀なセンスと感性で人気ブランドとのコラボレーション企画も多数。
取材・文/内橋明日香 写真提供/佐田真由美