モデルや俳優として活躍する佐田真由美さんは、3歳から芸能の仕事を始めたそうです。高校生の時に一度離れるものの、再びこの世界へ戻った理由とは──。お話を伺いました。(全3回中の1回)

小さい頃は「仕事が好きではなかった」

── 3歳からモデルを始めたそうですが、きっかけは何でしたか。

 

佐田さん:家族で街を歩いているときにスカウトしていただきました。母が、モデルや芸能の仕事をさせたかったのでお引き受けしたという感じです。私自身は、当時のことはまったく覚えていないんですが、一番古い記憶は、6歳頃にディズニーランドのCM撮影をしたことです。営業時間外にパークに入れて、キャラクターにも会えて、すごく楽しかったのを覚えています。

 

佐田真由美さん
体幹すごすぎ!トレーニング中に見事な逆立ち姿の佐田さん

雑誌やCM、ランドセルのカタログなど、本当にいろいろとお仕事をさせてもらっていました。友だちから「あれに出てたね!」と言われることは嬉しかったんですが、みんなが遊んでいる時間に仕事に行って、学校を早退することもあり、子供ですから現場に行くよりも友だちと遊びたいと思っていたので、正直、仕事はあまり好きではありませんでした。

 

── モデルの仕事からいったん離れた時期があったそうですね。

 

佐田さん:モデルの仕事をしたくなくなってしまって、高校に入ってから髪の毛をバッサリ短く切ったんです。相談せずに切ったので、マネージャーさんに怒られました。そこから3年間はまったく仕事をせず、高校生活を謳歌していました。

 

海外に行ってみたいという憧れがあったので、アルバイトをしてお金を貯めて、祖母がいるアメリカに行こうと思っていたんです。でもアルバイト中にまたモデルのスカウトをされ話を聞いてみると、そのお給料がアルバイト代よりも高かったんです。「それなら、また始めようかな…」と。そこから今に至るまで続いています。

「大人になってこの仕事が大好きに」

── いつ頃から本気でモデルの仕事に向き合うようになりましたか。

 

佐田さん:仕事を再開してから徐々に、ですね。他のモデルさんを見る機会が多くなり、かっこよくて表現力が豊かな人を近くで見ていると、「自分もそうなりたい」という気持ちが強くなっていきました。もともと洋服は好きだったので「スタイリストさんがコーディネートすると、こんなにオシャレになるんだ」というのもすごく勉強になりましたし、だんだんとのめり込んでいき、気づけばこの仕事が大好きになっていました。

 

佐田真由美さん
娘とショッピングに出かけた際のカジュアルな私服ショット

── 海外に行くことを目標に再開した仕事でしたが、行くことはできましたか。

 

佐田さん:それがまったく。最初に出させていただいた雑誌が『ViVi』だったのですが、本当に忙しくて、1年間でゆっくり休めたのがお正月と、夏に少し。プライベートで海外に行くという目的は果たせなかったのですが、撮影ではいろいろな場所に行かせてもらいました。雑誌が盛り上がっていた時代だったので、月に1回は海外での撮影がありました。

 

── すごい頻度ですね。撮影方法も今とは違いますよね。

 

佐田さん:デジカメではなく、フィルムなので時間もかかりますし、ものすごい量を撮影します。今はデジカメなので、その場で確認できるのがいいですね。洋服は1日の仕事で100着くらい着ていました。

 

── お忙しい日々だったと思いますが、プライベートの時間はありましたか。

 

佐田さん:撮影終わりに、そのままモデルの友だちとご飯や遊びに行くことくらいで、自分のメンテナンスをするような時間はありませんでした。それに、今のように撮影したものを修正できる時代ではなかったので、鳥肌が立ったらそのまま、クマがあったらそのまま写ってしまっていて。常に綺麗でいなければならないというプレッシャーがあって、私の場合はどんどん痩せていってしまい、痩せないように常に食べることを意識していました。

 

佐田真由美さん
ハートのアクセサリーが可愛い!メガネ姿もお似合いの佐田さん

── 今はSNSで個人も発信できる時代ですが、当時の雑誌の役割は今とは少し違いますよね。

 

佐田さん:雑誌が世の中に多くのことを提案していた時代だったと思います。物のはやらせ方の順序も今とは違う気がします。今は多くの情報から自分らしさを見つけなくてはならないので、大変だなと思うこともあります。

 

当時のモデルは、声もわからないし、どんな性格かも世に出ていないので謎に包まれたミステリアスな職業でした。今はSNSで自分の生活や私服を公開できて、普段の姿を届けられるのでより身近な存在として感じてもらえますよね。でもその一方で、コメントなどがダイレクトに届いてしまう。当時は、意見を気にせず自由に表現ができていたと思うので、それはそれでいい時代だったなと思います。

 

── 佐田さんにとって、この仕事の魅力は何ですか。

 

佐田さん:洋服やメイクをどう表現しようか考えて撮影に挑んで、「こうしたらこの洋服を素敵に見せられるな」というのがピタッとハマったときです。ゾーンに入ると言いますか、カメラマンさんもグッと入ってきて、阿吽の呼吸で撮影ができている時は気持ちがいいですし、すごく楽しいです。

 

逆にうまく行かない時は、スタッフみんなでディスカッションをして軌道修正していきます。みんなで作り上げていくステップを含めて、モデルの仕事、撮影が本当に好きだと思いますね。

 

PROFILE 佐田真由美さん

3歳からモデル活動を始め、10代で雑誌「ViVi」でカリスマ的な人気を博し、ファッションリーダーとして同世代の女性から圧倒的な支持を得る。俳優として映画やドラマに出演し、歌手としても活躍。二児を出産後にモデル復帰し、現在はファッション誌を中心に活動。17周年になるジュエリーブランド「Enasoluna(エナソルーナ)」のディレクターとして、デザインやブランドビジュアルなど、ブランドに関する全てを手がける。類稀なセンスと感性で人気ブランドとのコラボレーション企画も多数。

 

取材・文/内橋明日香 写真提供/佐田真由美