「大人は信用できなかった」と語るIMALUさん。有名な両親を持つことで子どもの頃に抱えた葛藤や大人への不信感を、海外留学を経てどのように解消していったのでしょうか。(全3回中の1回)

運動会のランチでもカメラにずっと撮られ

── 小学校は地元の学校に通っていたそうですが、学校生活はいかがでしたか

 

IMALUさん:今でも学生時代の友だちとは仲がよくて、よく遊びます。ただ、当時は先生に限らず大人が好きじゃない!と思っていたので、先生に対しても疑問をいろいろと持っていた子どもだったと思います。

 

── 大人が好きじゃないとは?

 

IMALUさん:私が反抗期だったのかもしれないですが、大人は信用できないって思ってたんですよね(笑)。両親は確かに芸能界でも長く活躍している人たちですが、私にとっては普通の父と母。周りの大人たちが私の両親に、すごく気を遣ってる姿が居心地悪かったんですよね。

 

たとえば父親が席を立つとみんな一斉に立つとか、父親を見送った瞬間にいきなり空気が変わるとか。人によっては態度が急に変わる瞬間も見ていたので、大人がすごく嘘っぽく感じてしまったんです。

 

今はわかりますよ。仕事をするうえで人に気を使うのは当たり前のことだと思いますが、当時は違和感がありました。

 

── ご両親が有名人であることで、IMALUさんへの影響もありましたか?

 

IMALUさん:子どもの頃、母と一緒に歩いていたら突然「IMALUちゃん!」って知らないおばさんに声を掛けられて、「どうして私のこと知ってるの?」って怒ったらしいです(笑)。確かに今思うといきなり知らない人に名前を呼ばれたら怖いですよね(笑)。

 

あと、小学校の頃はクラスが違う子からいきなり「友だちになってください!」と言われたこともありましたし、運動会はランチの時間もずっと誰かにカメラで撮られていたり、レポーターが学校まで来たこともありました。

 

知らない人が自分に近づかないようにあえて壁は作っていたかもしれないですね。

 

そんな中、学生時代に、今でも交流が続く友だちに出会えたことは私にとって一生の財産ですね! 

「お母さん何やってる人?」と聞かれて

── 高校はカナダの学校に留学されましたが、小・中学校時代の経験も影響していますか?

 

IMALUさん:小学生の時からMTVという音楽チャンネルをよく観ていたんです。海外アーティストの授賞式を観ていると、みんな自分の意見をちゃんと伝えるし、イエスノーがハッキリ言えてカッコいいな!って思ったんですよね。その頃から海外の音楽や映画をたくさん観るようになって、英語にも自然と興味を持ちました。

 

中学の夏休みにサマースクールに行かせてもらって、さらに海外への憧れも強くなったんです。英語のレベルは中学英語がちょっと成績がよかったくらいでしたが、高校は海外の学校に行きたいと自然に思うようになりました。

 

── いざ、カナダの学校に留学されていかがでしたか?

 

IMALUさん:もともと人見知りでしたが、言葉の壁があって最初は苦労しました。授業は何を話しているのかよくわからないし、会話のスピードもとにかく速い。日本で習ったような単語も出てきませんでした。

 

また、留学先の高校は日本の大学のように授業ごとに教室やメンバーが変わるんです。これは自分から中に入っていかないと友達ができないと感じて。とにかく顔を覚えてもらおうと思いました。たとえば「ペンを忘れちゃったんだけど、貸してくれない?」とか、「ここわからないから教えてくれない?」と、嘘でもいいから話しかける(笑)。でも、そうやっていくうちにちょっとずつ会話が生まれて、次第に友だちも増えて、気づけば人見知りも克服できたような気がします。

 

── カナダで学校生活を過ごして、どんなところが日本とは違うと感じましたか?

 

IMALUさん:当時はそこまで気にしてなかったのですが、誰も私の親を知らない環境に3年間いられたことは今思えば貴重な時間だったと思います。「お母さん何やってるの?」と聞かれて「俳優だよ」と答えると「そうなんだ、カッコイイね」で終わり。人として見てくれると言ったら大袈裟かもしれませんが、学校ではただのいち生徒であり、親は関係なく私自身に興味を持ってもらえたことが嬉しかった。今までにない経験だったかもしれません。