シンガーソングライターとして活躍するBONNIE PINKさんは、小さい頃から歌うことが大好きだったそう。「観客を集めて歌を披露していた」という幼少期のエピソードを伺いました。(全4回中の3回)

歌うことが大好きだった幼少期

── 小さい頃はどんなお子さんでしたか。

 

BONNIE PINKさん:物心ついた頃から音楽が好きでした。4〜5歳の頃にピンク・レディーが流行っていて、テレビを見て歌詞を覚えて歌っていました。ピンク・レディーは二人組なのでお友だちを巻き込んで、真似っこする感じですね。

 

BONNIE PINKさん
初期は赤髪だった!スウェーデンでのレコーディングの際のオフショット

保育園の園庭に砂場があったのですが、そこに園児の観客を集めてオンステージを開いていました。家だとこたつの上に乗って、おもちゃのマイクを持って。歌うのが気持ちいい、楽しいという気持ちはこの頃からあったと思います。恥ずかしいという感覚もなく、むしろ「聞いて聞いて!」という子どもでした。

 

今、6歳の娘がまったく同じことをしていて。私が歌うのを1〜2回聞いたら覚えてしまうんです。Apple Musicでボーカルの音量を下げるとカラオケのようになるので、私が歌っていると「次は私ね!」と言って取られています。血だなと思いますね(笑)。当時こういうものがあったら私もずっと歌っていたと思います。

 

── 音楽好きなご両親だったのですか。

 

BONNIE PINKさん:両親が音楽を聞く習慣はありませんでした。でも両親とも歌うことは好きだったようで、お正月に親戚で集まってカラオケに行く時に父の歌声を聞いたことがありました。母も満更でもない感じで、夫婦でデュエットするのを聞いたことがあります。歌いながら両親が踊る姿を見たこともありますよ。ソシアルダンスと言いますか、そういうのが昔はおしゃれで、両親の出会いはそういう場所だったと聞きました。

 

祖父母まで遡ると、祖父はびわを引いて、祖母は琴を弾いていたようです。でも私が一番影響を受けたのは3つ上の兄ですね。音楽が好きでのめり込んでくれたので、一緒になってビートルズなどの洋楽を聞いて耳が肥えていったと思います。

 

小学校では合唱団に入り、6年間続けていました。音楽は聞くのも楽しいし、歌うのも楽しい。祖父母が住んでいるところまで車で1時間ほどかかるんですが、家族で行く際には助手席に座って合唱団で歌う曲をずっと歌っていました。

 

後部座席に母と兄が乗るんですが、大体寝てしまっていたんです。父がひとりで運転していて、「可哀想だから私まで寝たらダメだ」と思って歌っていたんですが、果たして役立っていたのか、うるさかったかのはわかりません(笑)。

ポエムを綴るのが日課だった

── 歌手になるのが夢だったのですか?

 

BONNIE PINKさん:それが、毎日歌っているのに歌手になりたいとは思っていなかったんです。歌は趣味と思っていたんですかね。なぜか小学校の卒業文集には美容師になりたいと書きました。今やどれだけ自分の髪に無頓着か(笑)。

 

あとは、詩を書くのも好きだったので10歳頃から書いていました。誰かに教わったわけでもなく、日々のことを文字に起こすとスッキリするということに気がついて続けていたのですが、ポエムのような感じで心情を綴ることを日課にしていました。なので、雑誌の編集者とか、文字に関わるような仕事にも興味がありましたね。

 

BONNIE PINKさん
LAでレコーディングとジャケット撮影をした頃「落ち着いた雰囲気のなかにも初々しさが!」

── デビューが決まった際に、ご両親の反応はいかがでしたか。

 

BONNIE PINKさん:父は公務員で、私は小学校から国立の学校に通っていて割と真面目街道だったので、まさか自分の娘が芸能界に入るというのは1ミリも予想していなかったと思います。あれだけ歌っていても両親から「それだけ歌が好きなら何かする?」というようなことを言われたこともないですし、ソロデビューが決まったときに父に報告したときは、「反対もしないけど応援もしない」と言われました。

 

自分でやりたいからするんでしょって。「自分で決めたことはできる限り頑張りなさい」と言われました。当時まだ大学生で、私もこれが一生の仕事になると思っていなかったこともあって、割とライトにスタートを切った感覚でした。

 

でも、振り返ってみると小さい頃から好きだったことが全部、今に繋がっているんだなと思います。ポエムを書いていたのは、作詞をするという作業に直結していました。そこにメロディは乗っかっていなかったんですけど、事務所の方に出会って、昔から好きだった書くことと歌うことを合体させたのがシンガーソングライターだったのかと気づきました。

 

好きなものをまとめてできるのがこの仕事なんだなと思ったら楽しいし、自分で作った歌を自分で歌うって素敵じゃない?って。作詞作曲や、歌うことへの情熱は後から追いついてきたタイプだと思います。

 

BONNIE PINKさん

1995年アルバム「BLUE JAM」でデビュー。国内外のミュージシャンと積極的に交流しつつ作品を制作。2006年リリースのシングル「A Perfect Sky」とベスト盤「Every Single Day-Complete BONNIE PINK(1005~2006)-」が大ヒット。その後もオリジナル・アルバムの数多くの楽曲はドラマや映画・CMに起用され、その歌唱力と作詞/作曲センスは幅広い世代から注目を集め続けている。2023年、11年ぶりのアルバム「Infinity」をリリース。

 

取材・文/内橋明日香 写真提供/BONNIE PINK Official