タレント業のかたわら、大学に通い栄養学を学んだ水野裕子さんは、X(旧Twitter)で投げかけられた疑問に頭を巡らせました。学んだことをどう伝えるか。模索の日々を聞きました。(全4回中の4回)

 

キレイな腹筋!芸能界ナンバー1女性タレントの磨かれた肉体

栄養学はシンプルだからこそ伝え方が難しい

── 管理栄養士の知識を、どんなふうにいかされていますか?

 

水野さん:栄養学は学べば学ぶほどシンプルで、結局、体づくりに大切なことは「バランスよく食べる」「節度を持った量を食べる」ことにいきつきます。でも、これって本来、誰もが知っていることなんです。だからこそ、その大切さをどんなふうに伝えるかは、学ぶ前よりも難しいことだなと痛感しているところです。

 

── 痛感していると、いいますと?

 

水野さん:以前、X(旧Twitter)で、「なにを食べたらやせますか?」と聞かれたので、「食べてやせるものはないです。食べすぎなければいいだけです」と答えたら、「栄養の勉強をしているくせに、そんな普通のことしか言えないの?」と言われたので、つい「普通のことをできてないから、太ってしまうのでは?」と、返したら炎上してしまって…。

 

私の言い方がよくなかったと反省していますが、どうすれば体づくりにとって大切な極意をうまく伝えられるのかと模索中です。いまはまず、自分の身近にいる人たちに、体づくりの工夫や献立づくりの相談にのりながら経験を積んでいるところですね。

 

仲良しの農家から送られてきた色とりどりの野菜を使ってパスタやサラダ料理を自炊して堪能

── ご自身の体づくりや健康習慣に変化はありましたか?

 

水野さん:私自身も40代になって、ついたお肉が落ちづらくなったり、疲れが抜けにくくなったりと体の変化を感じるなかで、どうすれば良いコンディションを保てるのか、自分の体で実践しているところです。

 

日々心がけているのは、朝ごはんをきちんと食べ、遅い時間には食べない、量を食べすぎないこと。そして、肉、魚、野菜、米、油物も取って、バランスよく食べる。あとは、体を動かすことくらいですね。

「小学校で使ったことあるはず」やせる運動ツールとは

── 日々の運動習慣は、どんなことをされているのでしょう?

 

水野さん:「水野さんのことだから、ジムでがっつりとウエイトトレーニングをしているんでしょ?」とよく言われるのですが、そんなストイックな運動は習慣にはしていないんです。最近、お腹周りのお肉がちょっと気になってきたので、家でフラフープを回していますね。

 

── フラフープですか!昭和世代にとっては懐かしのアイテムですね。子どものころ、よくやりました。

 

水野さん:フラフープは、お腹まわりのぜい肉を落とすのに効果的なんですよ。じつは、筋肉は動かすことでつきますが、ぜい肉である脂肪を落とすには、直接刺激を与えるほうが効果的です。だから、フラフープでぜい肉を落とし、さらに、腹筋などで筋肉をつけて引き締めるのがいいんです。

 

「手軽なシェイプアップにはフラフープがいい」と水野さん

フラフープがうまく回せないという方もいらっしゃいますが、毎日続けていけば、きっとお腹まわりがすっきりしていると思いますよ。テレビや動画を見ながら、気軽に取り組めるのもおススメポイントです。音や振動も発生しないから、マンションでも下の住人に迷惑をかけないですしね。

 

──「ながら」で取り組めるのは手軽ですし、挫折もしづらくていいですね。ぜひやってみます。

 

水野さん:じつは昨年、腰を悪くして、腰椎椎間板ヘルニアを発症し、手術を受けたんです。アスリートじゃないのに、長年アスリートばりの動きを続けてきたので、腰に来てしまって…。もう少しきちんとケアをすればよかったのでしょうけれど、なかなかそこまで至りませんでした。

 

ですからいまは、体づくりをやり直しているところです。体のゆがみをなくして、インナーマッスルを鍛えたいと、1年前からピラティスに通っています。ピラティスは、体幹を鍛えるのに効率的なエクササイズですね。

 

もともとは戦争の負傷兵のリハビリとして始まったものだとか。体幹を鍛えることで姿勢よくいられるし、身体機能にもいい影響を及ぼすので、若い体をキープできます。自分の体のクセを知り、自分にあった方法でメンテナンスしていくことが大事です。

座ったときに「脚を組むのをやめる」だけでもいい

──「体のクセ」というのは?

 

水野さん:体の使い方や姿勢など、自分では意外と気づいていないクセがあって、その積み重ねが大きな差になって表れてくるのが40代くらい。

 

例えば、利き手と利き足しか使わない生活を長年続けていたり、歩き方や座り方などにクセがあると、それが背骨や骨盤のゆがみになって悲鳴を上げることも。私も自分の体と向き合いながら、意識的に直すようにしているところです。

 

── 自分で「体がゆがんでいる」ことは、わかるものなのですか?

 

水野さん:靴の裏を見ると、けっこうわかりますよ。靴底の減り方が右と左で全然違っていたり、外側だけすり減っていたり。一度、自分がよく履く靴をひっくり返してチェックしてみてください。女性の場合、スカートが気づくと回っている人もゆがみが原因な場合が多いです。

 

── 年齢を重ねると、どうしても即効性のある美容や健康法に飛びついてしまいがちですが、根本的なことに立ち返ることが大切なのですね。

 

水野さん:わかりやすいものに飛びつく気持ちも理解できるのですが、それだけだと病気でいう「対症療法」のようになってしまいますよね。

 

例えば、顔のたるみにしても筋力の低下だったり、骨の問題だったりすることも。そうなると、見えるところのケアだけでなく、食事で必要な栄養素を正しく摂取する、運動をして筋肉をつけることも大事になってきます。

 

即効性のあるものは、効果がなくなるのも早いですから、日々の小さな積み重ねが大切です。座ったときに足を組むクセを意識的にやめてみるとか、少しずつ自分の体のクセを直していくように習慣づけることから始めてみてはいかがでしょうか。

 

PROFILE 水野裕子さん

1982年、愛知県生まれ。1998年、SONY乾電池のキャンペーンオーディションに合格し、芸能界デビュー。「王様のブランチ」(TBS)、「世界バリバリ☆バリュー」(毎日放送)「ザ・フィッシング」(テレビ大阪)など数々の番組の出演。「KUNOICHI」などのスポーツバラエティ番組で活躍し、芸能界女性No.1アスリート”の異名をとる。釣り番組では国内外へのロケも多数。現在はNBA関連の番組やイベントでも活躍中。

 

取材・文/西尾英子 画像提供/水野裕子