「自分を認めてあげたい」

── 海外で生活をするなかで感じる変化はありますか。

 

福田さん:日本にいたときは、とにかく新しいことをしてみたい、日本から離れてみたいという気持ちだけで、特に英語を話せるようになりたいとは思っていなかったんです。でも今はいろんな人とコミュニケーションをとるようになって、初めて本気で英語を話せるようになりたいと思っています。

 

福田麻由子さん
さまざまなバックグラウンドを持つ仲間に出会い人生観が変わったという福田さん(中央)

私は日本にいるときも、そんなにいろいろなところに行く方ではなかったので、すごく当たり前で恥ずかしいのですが、今になってようやく「世界は広くて、こんなにたくさんの人がいるんだ」と思えています。日本語でコミュニケーションを取れる人って、世界からしたらほんのちょっとなんですよね。

 

でも英語がメインの生活でも、日本語で話せる機会があると嬉しいですし、まだこちらに来て3か月なのに、どうしてもおみそ汁が飲みたくてなって、先日、わざわざ高いおみそを買っておみそ汁を作りました。改めて、「私の故郷は日本なんだな」というのも実感しています。

 

── 小さい頃からお仕事を始めて、これまで気をつかわなくてはならない場面は多かったと思います。日本を離れて改めて思うことはどんなことですか。

 

福田さん: 日本にいたときは身だしなみを気にするのが当たり前でした。でもこれはいいことでもあると思うんです。細部にもこだわる気持ちが生まれて、技術も上達しますしね。私は、メイクもファッションもそこまで突き詰めてないと思うんですけど、こちらにいるとちょっとしたことでもすごく褒めてもらえるんです。

 

「ピンクのアイライナー、いいね!」とか、髪をアレンジしたら「かわいいね!」と声をかけられる。日本にいたときは、どこかで「減点されないようにしなきゃ」という気持ちが強かったと思います。変だと思われないようにしようというのは前向きな気持ちじゃなかったなって。

 

こちらにいるとオシャレをするのも楽しいですし、人にどう思われるかを気にしなくていい気がします。今はちょっと太ももが太くなったことなんて、まったく気にならないですもん(笑)。体重計にもずっと乗っていません。鼻の頭にニキビができても「誰も見ていないしな」と気にならない。人に堂々と自慢できるものが何もない私も、「このままでいいじゃん」と思えています。

 

芸能の仕事は表に出る機会が多いので「これくらいでいいじゃん」と言えない部分はあると思うんですけど、お仕事に戻ったときにも「これくらいでいいじゃん」と言い続けて、自分を自分で認めてあげられるような私でいたいと思います。

 

PROFILE 福田麻由子さん

1994年東京都生まれ。子役として芸能界デビューし、ドラマ「女王の教室」「白夜行」「スカーレット」等に多数出演。映画「FLARA〜フレア〜」「グッドバイ」などで主演をつとめるほか、舞台「The Pride」にも出演。昨年末より芸能活動を一時休止中。

 

取材・文/内橋明日香 写真提供/福田麻由子